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春菊の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 君という非日常
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君の指先が
携帯画面を
なぞり


部屋の壁に
長い長い影が
躍った


君がここにいるのも
僕がここにいるのも

深い意味なんて何もなく

お互いの
あたたかい音色に
導かれるように
ただ寄り添った


愛しいと
言葉にしてしまえば
壊れそうな

時間というものに
容赦なく
流されてしまいそうな
そんな非日常を


僕はまだ
どこに結べばいいのか

わからずにいた

2006/03/24 (Fri)

[2] ラムネ
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もう次へ行かなきゃいけないね

また言葉にできず

飲み込んだ苦味


道は無限にあるはずなのに

他に見付からないんだ

二人だけの
特別な秘密も

もう全部拾い集めてしまったのかな


たった一度
押すだけで

ふわふわと舞って
消えてしまうね


その瞬間
僕は
君は

最後に
もう一度だけ
お互いの目を見つめられるかな

2006/03/25 (Sat)

[3] 君となら
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フトンの中で
ふざけあって

ふたりで笑いあう


秘密めいた気持ち


記憶は
ありふれた日常を絡めて



きっと
忘れられない日々になる

2006/03/31 (Fri)

[4] 僕はただ
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僕はずっと
いろいろなことを
もっと知らなきゃいけない
と思っていた


君が眉をひそめて笑う理由とか


瞳の奥に残したままの言葉とか


何度も繰り返すことで
頑になった心とか


僕の常識だけで
理解しようとしたら

本当の
君を置き去りにしてしまいそうで


2006/04/23 (Sun)

[6] 忘れない
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沈む瞬間
力いっぱい輝く夕日

その後に
柔らかく光をこぼす
三日月



そんな光景に
心動かされて

送る日々の
些細なこと
胸にひっかかったものが
ぽろぽろ
落ちていく
けれど


きっと僕は
今日のことを
また忘れて

新しく
小さなことを
たくさん
胸にひっかけていくんだ


だって僕は
また日常に還って
いくのだから


でも
そのことで
僕は僕自身を卑下することも
君に原因をこじつけることも
もうやめるよ


僕は忘れっぽいけれど

それだけは
忘れないよ

2006/04/04 (Tue)

[8] 祭の跡
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君の中で
終わりを告げたのは
お祭りだけじゃなく


淡い光が並ぶ屋台に
背を向けた頃
僕に悟られないように
泣いていた


今日だけ
隣にいることを許す君

どうにも
行き場の無い想いを
足音に乗せて


大丈夫なんて
頼むから
言わないで

2006/04/05 (Wed)

[9] 目覚め
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何度も広げて確かめた
古びた約束も
そろそろクズカゴに
放ってしまおうか


僕はなんだか
時が何もかも変えていくってことを
忘れていたみたいだ


いつのまにか約束は
未来を繋ぐためではなく
過去に縛られるためのものになっていた

 何をしていたんだろう

僕には
今しかないのに

たった今
ここにいる自分しかないのに

2006/04/07 (Fri)

[11] 下降する
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「いますぐ
会いたい」

そんな
叶わぬ衝動に駆られて

屋上から
地上を眺めていた

夕焼けが
ちりちりと
冷たいビルを焦がす


それを気に停めることもなく
たくさんの人々が
せわしなく動いてる


その中に
君も組み込まれてると思うと


それは何だか
とても不思議で
機械的で

取り残された
気分だった


そうして僕はまた

むしょうに
君に会いたくなって


でこぼこな自分とか

逃げ場もない

どうしようもなさとか

そういうものを
見続けてしまう


君に
名前を呼んでほしかった


君の手で
やわらかな表情で


名前を
呼んでほしかった

2006/04/16 (Sun)

[12] 無題
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無くしたはずの記憶が
瞼の裏側を
通り抜け
どきりとした


軽はずみな言葉も
おざなりな優しさも

必要ないけど


かける言葉も
かえす表情も
見つからないまま


君の強さほど
僕は何も知らないんだと
思い知ったんだ

2006/05/27 (Sat)

[13] 明日へ変わる意味
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刻んだ言葉は
文字通り
えぐられ血を流した


痛々しいのに
僕は
いつまでも離れられないでいた

ただ自分だけを守る勝手さで


現実はいつも
軽々と跳び越え
また遠くなる

痛みには慣れたはずなのに


僕はとてもずるかった

軋むパズルを並べたてる
この頭を

易々と見失う
甘さを

許してはいけない

縛られてはいけない

2006/06/05 (Mon)

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