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HOPEの部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] ドア
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照らす灯りがぼんやりと淡く

明るくはない だって空は雨で、今日は火曜日で、今は10月で、夜が始まる少し前
僕は帰り道の途中で迷子
今日のような風景にはモノ悲しい風景がお似合いで、そんな風景の中に溶け込んでしまいそうな僕が、僕は怖い
照らす灯りがぼんやりと淡いのは、本当は僕のせいで、だから目の前のドアを開けて誰かの足跡を探してた

(もう帰らなきゃ)





はしゃぎすぎた君が背中を丸めて押し開けたそドアの向こうは、なんだかモノ悲しい風景で、吐く息が暗闇に溶けて染み渡るような雨の夜だった
見上げたその先に忘れてしまいそうな黒い空が、ぼんやりと淡く暗闇を輝かせていた
だから君は見覚えのある足跡に気づけなくて、それを綺麗に踏み潰してしまった
暗闇が好きになれない君は、やっと探り当てた【灯り】を優しく灯して、そして、目を閉じた
見つけたから目を閉じた
見つけたのに目を閉じた
閉じたままつぶやいた

(ただいま)





酷い夢で目が覚めた
部屋にはドアがひとつだけ
今日も無音が響いて、耳の奥に残ってるの
明るくはない だってきっと空は雨で、きっと今日は火曜日で、きっと今は10月で、きっと夜が始まる少し前
こんな風景があったんだ…って、きっと世界は気づかないまま終わってしまうのね
きっと今日もドアは開かないわ
それでもいいと思った
それでもいつか誰かに言ってあげたいと思い続けているの

(おかえり)

って



2007/10/31 (Wed)

[2] それ
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(残り時間はどれくらい残っているの)

そんな風に焦ってしまう私の中の不安定な【部分】が、いつだって私にはお似合いなの
壊れかけた砂山へとポツポツと降り出した雨は、いつだって優しくて残酷なの
そんな風景と向き合っているの
そんな私を、
夜が見ていた
月が見ていた

散り散りになってしまった【思い出せない何か】が、この暗闇のすぐ近くで息を潜めて隠れている

私は【それ】を見つけにきたの



空を抱え込んだ君は、【それ】をとても愛おしく隠し続けていた
それもなんだか窮屈で、息苦しくて、君は【それ】を秘密の砂山に埋めました
少しだけの、空の悪口と一緒に
いつだって迷いのなかった筈の君は、今日、初めて【途上に暮れる】というコトバの意味を知りました

(もうすぐ雨が降ってくるよ)

誰かの声
そんなコトを、そんな君に、教えちゃ駄目なのに…
いつだって世界は君を赦さない
そして君は少しだけ泣いた
ざらざらの白い壁に、頬を寄せて、暮れてゆく【それ】を見つめながら



僕といえば、
雲ひとつない空の下で傘をさしていた
こんなキモチを残しておきたいから、季節だけが通り過ぎていた
ふらつきながら繰り返した
呼吸のように繰り返す柔らかい風は、誰かの口臭と同じで、とても隠しきれそうにもないんだ
傘だけじゃ、隠しきれない【それ】は、もう僕の傍から離れたがっているのを、
僕は、
本当は、
知っていたんだけど…
僕は目を閉じた
零れ落ちる【僕の雫】だけが慰めてくれてた

(ちっとも優しくないよ…)

そんなの、僕だってわかってる
だから僕は、君の家に急ぐんだ
傘をさして、擦り切れそうな靴を履いて



約束の場所は夜
遠ざかる前に走り出す
いつかまた、同じ笑顔で会えたらいいなと思った

(ねえ、誰か…)

こんな世界を、笑い飛ばして



2007/10/31 (Wed)

[3] 平仮名
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とどかなかったそのさきに、とどかなかったそのさきがあるように、
とどかないそのりゆうとか、
りくつとか、
せけんいっぱんじょうしきへのはんこうとか、
【自分】をみつめるだれかのしせんとか、
【自分】を、ゆりうごかそうとするものって、ほんとうにたくさん、そこらじゅうにあったりするんだ。
どうころがったって、まちがいなんてどこにもないんだ。
ちょっぴりさみしくおもったり、ちょっぴりくやしくおもうだけ。

そんな【自分】に、ひどくこうかいしてみるだけ。



そうじゃない、とどかなかったそのさきを、いっしょにゆめみた、きみとみた【その先】を、

ぼくはきみとふたりでたしかにみたんだ。



2007/10/31 (Wed)

[4] 続き。の、続き。
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窓枠で切り取られた星空を、さかさまに見る。
諦めたその瞬間から、雲の速度がおそくなる。
此処からじゃ、地平線は見えっこない。
限られた世界の端っこで、広がる星空に託す願いは、きっと、昨夜夢見た未来への夢。
だから辞めたの。

どこかで誰かが泣いている。うん、あたしも。
星空のできごとなんて、きっと、ほんの少し。
星空が、あたしなんかに気づかないのと一緒。
忘れかけた空の果てを思い出して、ずうっと遠くまで涙をこらえた。
嗚呼、ため息が、こんなにも重たい。

震える頬を辿る冷たい空気と、「せーのっ」で向き合って、寂しい、をがまんするの。
忘れかけた空の果てに、遠慮がちに燈るそれが、涙の色と一緒だったらうれしいな。
窓枠で切り取られた、輝く星空が、なんだか悔しくて、昨日までの記憶をすべて忘れてしまいたくなる。


たとえば、
言葉の数だけ傷ついた夜の終わり、とかに。




2007/11/09 (Fri)

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