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船乗りの部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 浜あがり
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港に打ち上げられた僕は、積み込みの仕事をしよう
働くことが気持ちいいことだけ思い出せたらいいと思う
新しい恋人はうつ向くと瞼が煌めいて、僕のために微笑んでくれる

とても優しい眼で微笑んでくれる

一生懸命歌を唄うと

傷だらけの僕に微笑んでくれる

2004/10/26 (Tue)

[2] アルゴナウタ
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恐ろしいもの 恐ろしいもの
なぎかあらしか人食いざめか
夢かうつつか人食いざめか
港か

とても悲しい雲がふとる
帆がおかしげにはためくはためく
腹をすかせた人食いざめも
もぐった

舵を握る肩に血が廻く
アルゴナウタは鋼の体
なぎもあらしも人食いざめも
ひるむ

恐ろしいもの 恐ろしいもの
アルゴナウタのねぐらには
人のこうべがひっそりとある
なぎもあらしも人食いざめも
知らない

2004/10/26 (Tue)

[3] 
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僕は一番早く港を出る
怖いものなどありゃしない
稲光の中進むのも
君のためなら怖くない

僕は一番でかいさかなを釣る
そんなおいしくないけれど
驚いた顔が見たいのと
君の料理は残さないから

希望のいかずちが 僕を打つ
化け物のこえも かき消す
カンツォーネを 歌いながら
芯までしびれて 舵を握る

コンパスが 笑い転げても
地図が どんどん変わっても
大きなさかなは釣れなくても
君は港で 笑うから

希望のいかずちが 僕を打つ
化け物のこえも かき消す
愛の歌を 歌いながら
芯までしびれて 舵を握る

2004/10/26 (Tue)

[4] 桟橋
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桟橋から八双飛びする恋人
うまく受け止めなくちゃいけない
子供の頃から知ってるかもめが冷やかしに来る

よためいて、抱き合って、涙が溢れて、抱き合って

桟橋から八双飛びする恋人

白いワンピースを映す水面
逃げられたさかなまで跳ねて
入道雲が笑った

2004/10/26 (Tue)

[5] 看板娘
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狭い古本屋に入った
着物に眼鏡の看板娘がいた
宇能鴻一郎の鯨神を手に取る

三重県の山腹の集落は、豊かな体躯の女の形をした連山に囲まれてあると始まる
鯨神、と言う題を見て、鯨の肉の血臭さに少し唾気が湧く 今年一番の冷え込みだ、鍋にしたい

看板娘は風邪を引いているらしく、盛んに鼻をすする
蛇の血はとても生臭いが、体に良いとある 風邪などたちまちに治るらしい
女も蛇の血を飲めばいいのに

さらに、猿の血はもっと体に良い、とある
女も猿の血を飲めばいいのに、よく温めて
暫らくすると寒いですかとガラス戸を閉める 今日までは招客にと閉めずにいたらしい

猿が良いのだから人の血はもっと良いのだろうとある、そういうものかも知れないと思う
徐に眼鏡を外したこの女が、帯を解いて血をねだれば僕はどうするだろう

女は鼻をかむ その着物は濃い赤色で、もしかすると女はもう血を飲んでいるのかも知れない

2004/10/29 (Fri)

[6] "〜60'sCad.〜" for Orchestra
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ニ長調のオープンキャデラックで行こう
ゆらゆらと走ろう
できるだけ大勢で行こう
恋人をひざに乗せて

二分音符の陸橋をくぐろう
レガートを意識しよう
ソステヌートペダルを踏んで四速に
水性ダンパーが柔らかくはねる

箱乗りのバイオリンガールは人前で泣かない
助手席のクラリネットボーイは一人では泣けない
後ろのトランペットは酔うと泣く
その横のチェロは笑いながら泣く

60‘sのキャデラックで行こう
J.シュトラウスをやろう
できるだけ大勢で行こう
左折も右折もせずに行こう



全題 "My Honey Loves 60's Cad, and I Go Straight Ahead" for Orchestra

2004/10/29 (Fri)

[7] 最後のことば
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好き
という響きがあまりにかぼそくて、疑問なのか分からない

きらい
という響きがあまりにかぼそくて、疑問なのかわからない

と思ったのは

それが最後のことばになってから

2004/11/05 (Fri)

[8] せかい
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ブエノスアイレスでは 夏の始まる

けだるい匂い

アイスランドでは マグマのあぶく

跳ねるくじら

僕らの街では 君が目覚め

僕が眠りに

ごみ収集のおじさんが

ひとやすみ

やさしい腕

おはよう おやすみ

ありがとう お疲れさま

おはよう おやすみ

ありがとう お疲れさま

愛する人よ

まちがいを

みとめて

愛する人

愛する人

2004/11/12 (Fri)

[9] 
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君のくちもとに

蝶ちょの食べのこしが付いているよ

ひらりひらりと

蜜の匂いが漂っているよ

2004/11/12 (Fri)

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