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八朔の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 夕焼け
詩人:八朔 [投票][編集]

耳を塞ぐなよ
絵みたいに見えるのは
映画を知らないからさ
輝かない星空と
共にいるのは夜だけさ

澱んだ水は溢れ出し
水の中で僕は沈んでる

口が勝手に動く
口 が勝手 にう ごく

上に向けて
火を放つマネをする その手は
天井がジャマで何も見えやしない

この部屋の壁の白い色は
僕の人生のにおい

くちがかってに うごく
く ちが か ってに う ご く
疑問を飲み込んだおなかは真っ黒
ぎもんをのみこんだらおなかは真っ黒に

赤色の夕焼けが離れてく
壁の色や質感を確かめると
青に染まる窓のキャンパスが僕を隠してく

今日も僕は何も食べずに歩いてる

く ち がか  って に う ごく
くちがか っ て  に  う ご く
ぎ もん をのみこ ん だ
ぎもんを のみ こんだおなか は まっ くろだ

2007/01/18 (Thu)

[3] 密室
詩人:八朔 [投票][編集]

録音した鼓動
瞑想の集合
その日に浮かんだ考え
ドブ河に流して捨てた

俺は知らない
何も知らない
殺風景な部屋しか見えん

酩酊 放浪
妄想 行動

構わずにいた
飽きられ犬が死んだ
俺は何もかも
ドブ河に流した

俺は知らない
何も知らない
とっくりの転がったこの部屋
3年前に一家心中があった部屋で
ちびちびと酒を飲む
ここは血の匂いも
家族の悲鳴もなんもない

酩酊、放浪、酩酊、妄想

染み付いた印象と
空想が抱き合った
密室の形のそれに乗り
闇へと歩く

酩酊、衝動、焦躁、慟哭

2007/01/18 (Thu)

[4] 酩酊の夜
詩人:八朔 [投票][編集]

砂にビールで井戸作り

強い熱い赤、沸騰し

違和感、棒立ち、視野狭窄

夜空を横切る立ち小便

2007/01/18 (Thu)

[5] 亀の事情
詩人:八朔 [投票][編集]

地に足つけて進むにも

僕の足、遅いから

ぬらぬら光る跡だから

蔑まれたり消されたり

2007/01/18 (Thu)

[6] 酩酊、嘔吐
詩人:八朔 [投票][編集]

静寂を乱す、自己嫌悪

蛇口が壊れて治らない

焼酎・日本酒、栓にして

押して流して逆流す

鏡で見れない自分の吐瀉を

睨んでくれるな、木彫りの熊よ

2007/01/18 (Thu)

[7] 好奇心
詩人:八朔 [投票][編集]

眼球の中身は住居内の砂漠
違和感、棒立ち

色を、声を、感触を、
取り入れたくて
赤のさざ波の絨毯をめくった

手に入ったのは熱でなく
透き通る青色
体内を走る戦車

冷たい鉄はとうとう僕を撃ち
視覚的にこちら側を巡る

刺はやがて焼酎の熱さに似た声の耳鳴り
錆びた鉄が金属でしかないことを知った

2007/01/18 (Thu)

[9] イケない甘味
詩人:八朔 [投票][編集]

イケてない日の呼吸
すぐに乱れる呼吸
馴れ合った空の色
なんだか濁って

妙に混ざったボイス
早く掻き出さなくちゃ
声に混じったノイズ
早く嗅ぎ分けなくちゃね

バナナボートにまたがる
予想通りの客の
息が今日は荒い荒い
今日はなぜだか荒くて

わーわーわー
蛇口壊れたみたいな
わーわーわー
やけに多めのサラミ

ああ
いやんなっちゃう
このあまいあまい間違い
たまらないくらいビターに
斜め上から覗かないで

ああ
透き通ってる
小さい僕のシュガー・ポット
ミートソースの影響か
やけに酸っぱい液体

掻き出すぞ
掻き出すぞ
ネジを引っこ抜いて笑う

ああ
上にいるのか
下にいたいのか
わかんないくらいイケてない
いやんなるくらいイケてない
あああ
ココがどこだか
冷蔵庫だか、胎内なんだか
わからんくらい毛が伸びた
わからんくらい暗い暗い

2007/02/07 (Wed)

[10] 脳ミギナナメ内
詩人:八朔 [投票][編集]

誰の頭の中?
僕の色だけ

彼の体の中?
心地よい温度

好きな野菜と肉だけ
それで揃えた冷蔵庫
あけていいのは僕だけ
食べていいのは僕だけ

ざわざわと騒いだ
子供時代の梅雨帰り
晴れた空には見えない
光りを愛してた

安心できるから動かない?
そんな倦怠期はもう終わり
震えを通り越して固まる時代さ

体感温度はぬるーい
だけど溢れてる
すごく溢れてる
緩い考えの斜め上の
アルデンテ発想転換

彼の頭の中?
僕はいつから此処に

誰の頭の中?
中身のない冷蔵庫

2007/02/11 (Sun)

[11] 海岸
詩人:八朔 [投票][編集]

海よ
その打ち寄せる潮騒の
美しい色

哀しみは
愛おしいくらい純粋にこぼれ
静かに 静かに
流れ落ちる

ああ
朱い空の色が
何も言わず僕から離れ
今なら
暗くなるまでにまだ間に合うと
地平線を越え走った

平等に来る暗闇の
優しさすらもわからずに
もがいてしまった僕は

理解し合うことを忘れ
叫び、泣き、酔った

濁ってしまった哀しみは
物も言わぬ貝のように
ただ黙って佇み

波はなお
寄せては引いてを
静かに 静かに
繰り返す

2007/02/15 (Thu)

[13] 散髪日和
詩人:八朔 [投票][編集]

世界がからっぽなのは
僕がからっぽだからなのか

あるいは
あの日見つけた大発見が
温もりを失ったので
冷たく隅に押しやったことを
後悔しているからなのか

気だるさは
何も産んでくれないから
何かを孕まないで済むのだが

子宮さえ考えることをやめたようだから
重い腰をあげ
自分に鋏を入れた

鏡に写る自分は
笑っているのか泣いているのか
真ん中で静止していた

軽くなった頭は
スースーした

胸を張って少し外に出てみた

2007/02/15 (Thu)
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