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亞利芻の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] ゴミ当番
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深夜0:00
ボクは眠い目をこすり
拾ってきたマフラーを巻いた

ピンクと白の色が好き
ハートのトコロは
虫が食べちゃって穴だらけ

巻くとちょっと暖かいのは
誰かと誰かが想い合っていたから

まだ幼い化学者が捨ててしまったクルクル眼鏡をかけたら出発だ


ザクザク カンカン
ゴミだらけの街を歩けば


何もないかのように歩く人達


踏みつけられたゴミを
ボクは拾い集める
それがボクの仕事だから

辛くはないさ
だってほら
こんな良い物落ちてたよ


ビックリするほど速く走れる
靴なんだよ

コッチのオモチャの羽は
大空だって翔べるんだ


嘘じゃないよ
嘘なんかついてないんだ


ちゃんと信じれば叶うんだ
使えるんだ



ボクはゴミ当番
ボクが集める物は
持ち主のいなくなった夢達なんだ

2011/01/10 (Mon)

[2] お婆ちゃんのあれとそれ
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机の中にはなかったから
ランドセルにパンと
ジュースをいれて
長い旅に出ることにしたの


太陽が出てる時
何処かでは夜なんだね
そんな事考えるだけで
不思議な気分でニヤケちゃう


タバコ屋のお婆ちゃんに
聞いてみたの


永遠てありますか?


お婆ちゃんは
昔見たことがあるって笑ってた


むぅ〜…


結局探し物はみつからないまま
一日だけの長い旅は終わったよ


そんな事があった事も忘れた頃
あのタバコ屋さんに
黒い人達が群がっていて

そぉっと覗いたら
若い兵隊さんの隣に
あのお婆ちゃんの笑顔写真


ねぇ
お婆ちゃん

昔みたあれは
今隣にありますか

お婆ちゃんにとってのあれは
今も軍服を着て守ってくれますか
お婆ちゃんにとってのあれは
若い兵隊さんのそれと同じなんだよね


ボク自体が永遠じゃないように
お婆ちゃんも若い兵隊さんも
永遠の眠りにつくとき

その最後に心に残ってる物

それを永遠と
呼ぶのかも知れないね


お婆ちゃん…

永遠って…

楽しいだけじゃないよね

だって…

ボクの目は何故だか

滲んでよくみえないもの…












2011/01/10 (Mon)

[3] ボクのトモダチ
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幼いころから
いつも傍にいてくれたじゃない

寂しい夜には兎になって
パステル森の奥深く
あれが笑う月だよって
つれてってくれたよね

叱られてる時は
ボクの耳をふさいで
愉しい唄
唄ってくれる

キミがいればボクは
いつでも幸せになれたんだよ

なのに最近のキミはどう

とっても意地悪だ

ボクを責めるキミ
弱さもずるさも

逃げてしまいたくなるんだよ

ねぇ
お願いだよ?
仲直りしよおよ

だってキミはボクだもん

ボクが造り出した

ボクだけの

大切なトモダチ

2011/02/05 (Sat)

[4] スズメの唄
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今夜のボクは冬スズメ
ぷくぷくぬくぬく雪スズメ

頭に赤いランプ帽
恐い顔してお節介
ブルドックには気を付けよう

夜の街は危険かな?

43号線の歩道橋
重ね着したズボンが登りにくいな
大きすぎるキャップを
ずりあげてさぁ唄いましょ

プルップククゥ

知らないの?冬のスズメは
こうなくんだよ

プルップククゥ

着すぎたダウンに首を
引っ込めてね

うぇ〜ん

これは失敗
ボクの泣き声だ

プルップククゥ

ぐるぐる巻きのマフラーが
あれば平気さ

うわ〜ん うぇっ うぇっ

ほんとはちょっと寒いんだ
だって月は明るいのに
ちっともぬくくないんだもん


2011/01/12 (Wed)

[5] 昼休み
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鉄棒に足をひっかけてぶらーん
ウキャキャ
お猿さんみたいでしょ

こうして見たら空が海

お魚跳ねたよ

きっと空を飛びたかったんだね

飛び魚くんは凄いんだよ
ビューンてね

飛び魚くんのママは飛べるって
信じたよ
ママのママもそのまたママも
だから飛び魚くんは飛べるんだ

ビューンてね
凄いんだ

初めのペンギンパパは
溺れたんだって

だけど信じたよ
子供の子供そのまた子供も

だからペンギンちゃんは
凄いんだ
スィーッてね

ボクも信じたら生えるかな

シッポ

鉄棒ももっとうまく回るんだ

だけど心配なんだ…
大好きなキミの前で
うまくシッポを振れないと
困っちゃうから…

やっぱりボクはボクでいいや

だってキミがいるもん

さぁ

逆上がりの練習

また

一緒にはじめよう!



2011/01/13 (Thu)

[6] スノードロップ
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校庭のはじっこに
今年も待ってる人がいます

次の命を放って枯れちゃった
花壇の片隅にそっと

うつむいたあたまが
寂しそうだよ

つんとした緑のワンピース
凄く似合ってるね

見上げたら黒い雲
ねぇ大丈夫?
そんなに薄着じゃ
風邪ひいちゃうよ

ッヘクシッ

ほら
くしゃみ出ちゃったし



降ってきちゃったよ…

ふわりふわり

大きな雪

ふわりふわり

うつむいたあたまに


なんだかフカフカ帽子みたいだね

あれ?

今笑った?


そっか

そうなんだね

キミは雪に会いたかったんだ

キミたち二人お似合いだもん


お邪魔してごめんね


キミの名前はスノードロップ

白いあたまに
つんとしたワンピースの

小さな小さな

雪の待ち人さん





2011/01/14 (Fri)

[7] 魔法の言葉
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寂しい時は目を閉じて
唱えるの

あなたが教えてくれた
寂しくなった時の
おまじない

人に聞かれちゃダメだよって
こっそり教えてくれた
秘密の言葉

ボクに教えちゃったら
お祖母ちゃんはどうするの?

時々会いにきておくれって
消毒液の香りがするお部屋で
お祖母ちゃんは笑った

口にするだけで
あたたかくなれて

言葉の響きが
どことなく愉しい

秘密の言葉

忘れないように
何度も何度も唱えたよ

「ありがと」 は

もう伝えようがないけど

おまじないを口にするたび
あたたかくなれるのは

魔法じゃなくて

優しいお祖母ちゃんを
思い出せるからなんだよね?

お祖母ちゃん
ボクももう少し強くなれたら

大切な誰かに
このおまじない
教えてあげようと思うんだ

ボクがいなくなっても

ずっと…

大切な人を
守ってあげられるように…



2011/01/27 (Thu)

[8] 目玉くんと微熱風
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今朝起きたらね
キミの目玉になってたよ

まずはカーテンあけるんだね

綺麗…キミのお母さん
はじめてみたよ

ワンピース好きなんだ
ボクもだよ

自転車のカギ

ねぇ
外は凄く寒いよ?

ねぇ
飽きちゃったよ
コンビニの立ち読み

次はどこ?

いつもの駅だ
待ち合わせなの?

携帯ばっか見てるよね

あ…

綺麗な子…

やだ…やだよ…


気付けば自転車に
またがったボク

北風にだって
負けないくらい

速く 速く…

まだキミの視界のなか

駅からみた国道の景色

凄い速さ…

視界が細くなる

うそ…ボクだ

髪ボサボサだし
ジャージだし
寒いのにサンダルだ

キミからみたら
ボクはこんなにちっちゃいの

「よぉ」

キミの声

キミの笑顔


見たし確かに聞いた
だけどムリ!


顔が火照る
ブレーキはかけない

一気にかけぬけた

こんな気のぬけた
だらしない笑顔
キミになんて見せられないから



2011/01/16 (Sun)

[9] 水玉ピンクのクモはいます
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ボクの手のひらより
ちょっと小さい
ピンク色のハテナちゃん

目玉はクリッとしてて
まゆ毛が長くて可愛いの

凄く長い手足で
いつも編み物してるんだ

すきま風がピュルルってね
可愛いまゆ毛をゆらすとね

チクチク セッセと
ハート型のお家をなおすんだ

チクチク セッセ
あいちゃった穴をね

チクチクチクチク

少し痛いけど
大切な事なんだよ

そのままにしてちゃ
うまく笑えなくなっちゃうからね
チクチク セッセ

さぁキミも
そっと胸に手をあててみて

聞こえた?

聞こえるでしょ?



チクチク セッセ



ちょっと痛いんだ




チクチクセッセ




大丈夫

きっとまた

笑えるようになるからね



2011/01/18 (Tue)

[10] ボクなりの思春期
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放課後お気に入りのベンチ

滑り台がカラフルで
なん色あるのか数えてたら

少し冷たい風

遠い記憶。。。

ちょっと
寂しくなりました

記憶と現実を重ねながら
ぼんやり見ていたの

コンって小さな音

見上げるとキミ

置かれたのはボクの大好きな
コーンポタージュつぶつぶ入り

伝えたいキモチはたくさん
なのにいつも言葉は苦手

続く沈黙の中
子供たちの元気な声

あれ。。。4色だな

キミの話す声
すごく落ち着くんだ

缶の底

つぶつぶが
残っちゃうのは
どうしてなの

コンッ コンッ

叩いてみたの缶の底

ボクを見て吹き出したのはキミ
赤くなるのはボクの顔

面白いなって
頭においてくれた手

コンペタ。。。ありがとう。。。
やっと振り絞った声

コンポタだろう

呆れて笑ったキミの胸に
包み込まれたボクの頭

そのあとの沈黙

4色の滑り台から
手をふる女の子は
遠い記憶のボク

今隣にあるのはキミのにおい

あとはただ
静かに瞳を閉じたの




2011/01/29 (Sat)
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