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ジャンの部屋  〜 新着順表示 〜


[3] 月夜のお墓
詩人:ジャン [投票][編集]

墓石にとまった蛍は言った
 なぜあなたはここにいるの?
彼は答えた
 此処に眠る女を殺したから
空に傷口ができて女の血が降ってきた

地下に眠る女の霊が言った
 なぜ私は死んでるの?
彼は答えた
 君の膣から臓腑が流れ出たから
空の傷口から女の身体が堕ちてきた

女の身体は蛍を殺して言った
 あなたと私は同じ闇の中
彼は叫んだ
 僕は君に呪われたからとても苦しいよ
彼らを覗いていた月は涙を流した

女の名が刻まれた墓石が言った
 彼女をもう一度殺せ
彼は叫んだ
 何度でも殺してやりたいよ
女は彼に臓腑を差し出し吐血した

別の蛍が墓石に言った
 おかしな夫婦もいるもんだ
彼は言った
 これは孤独なお月様の夢なんだ
月が地平に沈むと彼らは消えた

2014/01/03 (Fri)

[2] 赤い夜
詩人:ジャン [投票][編集]

赤い星を向く銃口 錆び付いた引き金
銃声に驚いたのは 鍵盤の上を歩く猫
ささやかな悲劇が 静寂を切り裂いて
あの星は血を流した ああなんて素敵な夜

滴り落ちる星の血が ほらこの夜の街並を
こんなに綺麗に彩って 人々の痛みも憎しみも
浄化されて綺麗になって ひとときの悲劇は終わりを告げる

あの猫が創造した 部屋に響く不協和音
その余韻に浸るうちに 私は眠りについていて
夜の街が祝福される 素敵な夢の世界にいた

雫を零す赤い星 あれは空の心臓で
それを撃った私は 街に天の血を与えたんだ
いい銃声だった 空は暗いままかもしれない
だって空は死んだから 今夜は終わらないでほしい

2013/12/27 (Fri)

[1] 
詩人:ジャン [投票][編集]

散乱した空き瓶 そのガラス光に嘲われ
自堕落の味に酔い痴れて 明日を汚して得るものは
ひと時の空笑と 永年の偏頭痛
太陽が 堕ちていく 明日は来ないでほしい
その願いなが虚しく響き 全てが 堕ちていく
……脳に突き刺さるガラス片 焼酎の味

幻覚色の幸福 その光と熱に慰んで
魔法に騙され快楽を得て 命に火をつけ得るものは
ひと時の炎と 永年の罪悪感
黒い夜が 空を覆って 魔女の笑顔が燃える
その子宮に幽閉され 心が 黒に染まる
……全てを吸い込む黒い熱 ブランデーの味

赤く染みたコルク その長い記憶を羨んで
強い芳香に 幻想は赤み グラスに注いで 得るものは
ひと時の楽園と 永年の依存症
白い月が 夢に滲んで 赤い花が咲き乱れる
その幻は脈を打ち 意識は 夢に迷う
……血に注がれた赤い夢 ワインの味

2013/12/27 (Fri)

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