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かしの部屋  〜 新着順表示 〜


[56] 花渡し
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ねぇ、投げたら届くかな?

たぶん、今の君には無理じゃないかな

それじゃあビンに詰めて流したら受け取れる?

いつかどこかのだれかに届くだけさ

この石を水面になるべく平行に回転かけて投げれば…

楽しいよね、水切り

ロープに吊るしてこっちを高くしてみるとか

どうやってロープの端をこっちに?

うーん

うーん

どうしたらいいんだろう

いいよ

冷たい…なぁ

そりゃあ、君はね
無理だよ、ここは
気持ちだけ、受け取っとく
そっちのやつは悪くなっちゃう前に
食べちゃいな
それじゃあ、また

話せて良かった

…通じ合ったんだよ

2019/02/17 (Sun)

[55] 君の味方
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雨の日は傘をコンビニに忘れて帰る

河川敷の茂みに扇情的な雑誌を落としてしまう

汚れたスニーカーを履けば雨を降らしてくれる

そんな優しい味方が僕には、いた


きっと君は友達と離れたくないから

僕が、引っ越しのトラックを奪って逃げる


2019/01/30 (Wed)

[54] 辛気臭い4分
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あたかも自分が勝手なやつかのように
振る舞ってきたのに

今さらになって
「スターに憧れてた」なんて
純真を気取るのもいい加減にしてくれ

TVの向こう側だって
言い訳なんかじゃ不味いのさ
あんたが越えたいのは褪せた思い出

どうにもならないことないってのは
希望を持たなきゃありえっこない
生きたいと思わないと
生きてなんかいられない
あんたもTVの向こう側
手紙も電話もどうにか出来るけど


2010/11/11 (Thu)

[53] 負的な考え
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誰かが頑張っている姿は見ていて胸が苦しくなる
だって純粋に羨ましいから


積極的な友人は夢に向かって歩き出した
消極的な自分はここで歩むのをやめた

それは楽だから
満ち足りた幸せを望まなければ
羨望を抱いた楽で簡単な毎日が手に入る

頑張るより頑張る誰かを羨んでたい
可能性を残していたいから
ずっとスタート地点にいれば
いつか一番になれるレースに当たれるかも


一緒にゴールしよう
なんてものよりは
あの合図で走りだそう
そう決めてほしかった


また同じ場所から他人任せ
嫌になるほどより歪む


2010/07/10 (Sat)

[52] 四十の御手洗
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はじめましてがあまり好きじゃなかった

珍しいなんて
本人を目の前にはあまり言わない
そんな気遣いも煩わしい
気遣いないのも不愉快だ
そんなひねくれた人間に育った


最近はもう
はじめましてはあまりない
もうひねくれてすらいない
なにもない


猫を飼ってみた
そこそこなついたかと思えば
帰ってくることはなくなった

料理をするようにした
楽だからと喜んでくれた
料理はやめて
洗濯や掃除をすることにした

草野球もギターもジオラマも
どれもこれも長続きしない

もうそろそろ五十だ


2010/05/04 (Tue)

[51] チョリソーとか
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チョリソーなんてものを知っているから
このソーセージもあのソーセージも
チョリソーチョリソー言ってしまうんだ

だいたい名前で判断すると
チョリソーなんてのは
ノコギリの仲間だ

ノコギリは虫だ

虫なんて無視だ

ああ世知辛い
チョリソーを食べたばかりに
何故チョリソーを辛くした
更新料なんていらないんだ


2010/04/21 (Wed)

[50] 繋惹き
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いつの間にかこんなにもたくさん
僕には綱が結ばれてる
特にこの腰には数えきれないほど

昔の話は思い出になり
前へ進むのを邪魔する
しゅびだばどぅ
たらったんだっだっだん

全部ひっくるめて台車に乗せてしまえば
ひと押しで楽になるのも
間違っちゃない気もする間違いな気がして

でも取りには戻れない
ここからは小さく見えるから
しゅびどぅびどぅ
るららしゃらららん

なおさら何に対して
一層何に対して
輝く

魅力的になる


2010/04/19 (Mon)

[49] ああでもこうでもなくそうなんだ
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もちろん私が責任をもってしてます
確かに味付けはよくないとは思いますが
でも見た目に反するよりはいいでしょう



使ったら元の場所になおしておいてよ
わかりました
戻しておいて、これでいいんでしょ



まだ時間かかりそうなのかい
じゃあ僕も手伝うよ
いや、そんなこと思ってはいないさ
本当さ、ほら早く終わらせてしまおう
存外しつこいな君も
ペースが遅いことに関しては
特になんの感情も抱いていないよ



嫌々?
いやいや
い〜や



あなただけに話すよ
みんなが気を付けなければならないこと
僕とあなたのふたりの秘密
他の人に言ってもいいよ
たぶん誰かと君の秘密が増える


2010/04/17 (Sat)

[48] 桜メチル
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鼻唄を流し気分を乗せて
自転車に乗って通りすぎる間に
楽しそうな声が聞こえる
一緒かどうかなんて誰も
降り注ぐ陽も気にしてない

犯人はあなたです
桜の木の下の木下さんも
ゾンビダンスを踏もうとしてる
よろけてころんで
目に入る若葉をひとつまみ
ブドウがありますように

スーパーに寄っていかないと
そう思って携帯を探しても
何故だか見つからない
戻るのも面倒で
振り返らずに走り出した

そうして家に着く頃には気付いていた
鯨幕で飾り付けていたのが悲しくて
もうさようならなのか
本当に本当なのか
絶対に変わらないのか
そうなんだ
明日は僕には来ないのか


2010/04/01 (Thu)

[47] 染み込み
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通り雨は過ぎて行く
この肌を何処かへ引くように

それは変わらないものなのです
去っていくことも寂しくはない
ただ、ただ悲しいのです

思い馳せ
夜の闇に飛ばすのは変わりません

人はいつまでもそこにいるのですね



ちょうどいい
真ん中を歩くのが難しい
生まれた時に生き
死んだときに死ぬ
もう少しだけ片寄ってください

雨は丸くとも
涙は丸い

手を伸ばしても届かなくても
膝折れば触れあえる

やはり過ぎて行く
確実に小さくなって


2010/02/26 (Fri)
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