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イデアの部屋  〜 新着順表示 〜


[9] 産道の友へ
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春が来た

きみは笑う

日向暖かく
風は穏やか



夏が来た

きみは歩く

陽射し眩く
風は吹き立つ



秋が来た

きみは独りを知るだろう

空は遠退き
風は冷たい



冬が来る

孤独を恐れ塞ぐ耳

側で見守る人の顔さえ見えない夜

空は翳り
風が身を切り

目を潰し
泣き腫らしても



多くの物をひと時失い

そして取り戻す頃



きみはまた春を迎える


ようこそ世界へ

光眩く
風は優しい



2016.06.15
ポッキーの日に生まれたきみと
母ちゃんになった友人へ

2016/06/15 (Wed)

[8] 病影
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 夢を見る。
 灰色のアスファルト
 夏の陽射し
 私は芋虫で、やけに熱い地面を這っている。
 どこに向かっているのか なぜ向かっているのか それは知らない。
 目的は、しかし確かにある。
 なぜか分からずとも私は必ずそこに行かなくてはならない。どことも分からぬそこに。

 目が醒める。私は泣いている。
 なぜ泣いているのか 何に泣いているのか それは分からない。
 私は私であり、眼前に翳した手は芋虫の形をしていない。
 朝日が射す。
 目覚ましが出社までの刻を数える。
 やるせなさが肩と胸とを柔らかく押さえ込み、やがてゆるりと悲しみに変わる。喉を刺す。嗚咽に変わる。ああ、そうかーーー

 そうか 私は芋虫なのだ

 向かう先も理由も見えぬまま、もぞりもぞりと突き進む、あの芋虫なのだ。
 夢と現実がない交ぜになって私をかき混ぜる。
 朝日が眩しい。影が貼り付く。
 一日が、始まる。

2016/01/29 (Fri)

[7] きみの味方
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もう寝なさいと警告音
夜は終わって朝の時代
白んだ空が こんにちはって 微笑みながら

ふらふら頭
きりきりお腹

瞬いた目に 綺麗な町が ほら窓から
こんにちはって微笑うから

だから
もう寝なさいと警告音
嫌なことは細い月がみんなみんな連れてった
だからもう寝なさい
安心してもう寝なさい



空のこえ

2016/01/29 (Fri)

[6] 寝子
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熱過ぎるくらいの体温が
足先に触れる
湿り気を帯びた毛がふさりと
指の間に入り込む

私たちは布団の中で それ以上干渉もせず
違う夢を見る

寝返りを打つ
あなたの方を向く
お腹の辺りが淋しくても
あなたは知らんぷりね

少し長く足を伸ばしてあなたを押したら
あなたはにゃあとも鳴かずもぞり
また丸くなって
眠ってしまったの

2016/01/29 (Fri)

[5] 大晦日
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明け染める春

吹き上げる夏

すれ違う秋

音も無く 冬


明日 また一つ 年が重なる

2016/01/29 (Fri)

[2] 夏の風
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緑が揺れる 夏が吹きつける
ひかりに満ちた私の惑星で あなたがわらう
それは西洋絵画の乱反射
原色の粒がこだまする 愛が色めきたって吹きつける
ひかり満ちる 私の惑星

夏が揺れる

2015/02/14 (Sat)

[1] 名も無い夜
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涙に濡れるのは
頬でしょうか
心でしょうか

名も無い夜にあなたを思います
遠く帰らぬ日々へと去ってしまったあなた
泣いたり、笑ったり、怒ったり
いつだってあなたは思い出の中に息づいていて
触れることは出来ない

名も無い夜にそっと名前を呼んで、ともすれば
会いに行きたくもなるけれど
あなたはそれをきっと望まないから
こんな夜はただあなたの笑顔を思うのです

街の明かりが星を隠してしまっても
いつかあの山で見た満天の輝きが その心を癒していたように
鈍くぬかるむ社会の泥濘に喘ぐ私を
あなたの言葉は救ってくれる
今までも、そして今でも

あなたは一献の清水でした
暑く焼けるような夏の日の
あなたは一筋の風でした
うなじをかけ、清らにしてくれる、あの風でした
清水でした

名も無い夜にあなたを思います
深く呼吸イキ-をして、あなたを思うのです

2015/09/12 (Sat)

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