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なおきの部屋  〜 新着順表示 〜


[2] 消えて
詩人:なおき [投票][編集]

もし抱き寄せるための腕がなかったら

もし会いに行くための足がなかったら

もし想いを伝えるための口がなかったら


僕には何もできない

張り裂けそうなこの想いも

どうする事もできない



今、何を言っても君を傷付ける
何を言っても君を追い詰めるだろう
謝っても、言い訳しても、僕が発する全ての言葉は
君をイラつかせ、悲しませ、追い詰める

僕には腕もなく、足も無く、口もない
君に対して許されるのは沈黙のみか

きっと君の前に存在する事すら許されていないのだろう
君の願いは
僕が君の前から消える事
せめてその願いだけは叶えてあげたい




君の声が聞こえる
透明で体中に染み込む君の声
手に取るように、君の声を再現できる
不機嫌な時の君
何かに夢中になっているときの君
歌っている時の君
泣いている時の君
苦しんでいる時の君

僕の名前を呼ぶ気味

何にも代えがたい君の存在

だけど、もう、君の声を聞くことは許されない

そこにいるのは解っているのに
声をかけることも許されない

僕の言葉は力を失い
もう君を悲しませる事しかできない


ならば、せめてその願いだけは。
君の、僕に対する、最後の願いだけは。

2008/12/04 (Thu)

[1] 深く
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深く 深く 深く
深く 深く 深く

青い水面を見上げて
ゆっくりゆっくり
揺れる水面を見上げて
ゆっくりゆっくりゆっくり

誰も何も知る事はできず
誰も私を知る事はできず
人は孤独を恐れ
理解し、理解されたように振舞う
愛し、愛したように振舞う

今胸に感じる、君を失う孤独を消し去るように

僕は深く深く深く

青い水面を見上げ
深く深く
この孤独と共に光のない闇へ
深く深く深く

闇は黒では無く
それは光が届かない空間
光のない空間
そこでは孤独すら存在し得ず
完全な闇に全てが溶け出し
僕も君も孤独も溶け出し
思い出も記憶も涙も溶け出し
笑顔も君の声も温もりも溶け出す

存在は甘美な記憶と共に闇に溶け
苦しみは憎悪と共に闇に溶ける

行き場を失った、君に捧げるべき愛と憎しみは
僕の意思によって闇に溶ける
全てが溶け出すその瞬間
僕の脳裏に最後に浮かぶのは
悲しみに満ちた
ありがとう
静かに流す一縷の涙
声にならない嗚咽

どんなにくだらない人間だっただろう
どんなに価値のない人間だっただろう

君を愛する価値も
君に愛される価値もなく

だから、深く、深く、深く
光の届かない闇へ
全てを溶かすために
苦しみを、記憶を、涙を、存在を

2008/12/02 (Tue)

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