ホーム > 詩人の部屋 > 八朔の部屋 > 新着順表示

八朔の部屋  〜 新着順表示 〜


[34] メランコリック
詩人:八朔 [投票][編集]

夜中に目が覚めて
髪をかきあげる

いらついて
煙草に火をつけ、
抜け殻から
あなたの匂いが
香ってる

Melancholic.

(めらんこりっく。)


突き刺さってるよ、
あなたが。私に。
それを思い出すと、
あなたが香ってくる。

Melancholic.

(めらんこりっくだ)

2007/06/06 (Wed)

[33] その感覚、は。
詩人:八朔 [投票][編集]

それは緩やか、で。
それは、自然で。
こんなことは、
未来の夜中に、
私がひとり、が見る夢、
と思いたかったのです

私は今、背中を這う、
あなた、の手を覚えている。

(ひとり、ひとり。ひとり)

名前を、愛おしい名前を。
呟くたびに、
私からあなた、が溢れて。
体温が空を飛ぶのです。

抜け殻が、あなたの抜け殻、が。
夜中に、そっと私、に…
責めるように囁く、のです。
その囁きへの答え、
それは、口にしたくないのです。

いつの間に、
私はこんなに感傷的、に。
いつの間に、
私はこんなに、感傷的に。

その感覚、を知ること、が。
しあわせ、なのかふこうなのか。
どの答えも、ただただ悔しいから。
今はまだ、ひっそりと、布団の中。
あなた、の抜け殻と共に。
ねぇ、あなた。

2007/05/29 (Tue)

[32] 歎きの雨
詩人:八朔 [投票][編集]

此処は、暗く、暗く。
言葉も、体も、ない。

水面に浮く、草…
ひとり、楽です。
重力、も空気もがない。
深海にただ、漂う。

真っ白な海にあなたが飛び込む。
その衝撃で
波が、ゆ ら り、とゆれる。

干からびていくことは
とても楽で。
渇く辛さなんて、
考えたことはなくて。

あなたの声が、
言葉が、
体温が私を呼んでいる。
それに抗うことはできず。

零れ落ちるあなたは、
綺麗で、とても、哀しくて。
だから私が、
もう一度、干からびてもいいから。
どうか、あなただけは、
どうか、渇いていかないようにと。
祈りながら、
静かに、雨を降らすのです。

それしかできないという、
歎きは、
あなたには、知られないよう。
ひっそりと。

2007/05/02 (Wed)

[31] 鏡の惑星
詩人:八朔 [投票][編集]

メンソールのかおりが鼻につく惑星、の、中心で泣く子供が一人。

(…か……を……)

声は遠くか細い。聞こえない。僕はいつからここに?覚えていない。…困った。

うわ。混ざっていく。僕の頭と関係なしに体が混ざる。

(…れか……を…で…)

どうやら僕の耳が悪いらしい。そういえば目も悪い。見えない。顔がみたいのだが。誰だっけ?

「君は誰だっけ?」

叫ぶも届かず。成る程、向こうもか。これは片付くのに時間がかかる。
仕方なく近づく。…熱い。
彼は惑星か?近付くと体がやけるように熱い。
(※ノイズ)
この音はなんだ?
あ、しまった。
また混ざってしまう。
僕が薄まる。
(※ノイズのいず!)
近付くと音量が上がる。
痛い。
耳は悪くないのかもしれない。
馬鹿にうるさい。

(だ……ぼ…の…な……を……)

うるさくて聞こえない。

「君は誰!?」

苛立ってきた。
行くのをやめようか?
後ろを振り向く。
これでは戻るほうが大変だ。

歩く。
仕方なく歩く。
耳から血が流れた。
それでも僕は彼に会わなくちゃ。
原因はわからないけど、
目的と方法は感じるから。

(だ…かぼ…な…を…よ…で………い!)

ああ、知ってる顔だ。
久しぶり。

(誰か僕の名前を呼んでください!)

名前がわからないのか。
じゃあ僕も君のことがわからないよ。
ごめん。

触る。
触ることが救いになるだろう。
ごめんよ。

ひんやりとした感触。
なんだいこれは。
君は人じゃないのか。
いやこれは。

「誰か僕の名前を呼んで下さい!」
(誰か僕の名前を呼んで下さい!)

ノイズはやむ。
声はこだまする。
一人しか住まぬ惑星。

「こんにちは」
(さようなら)

2007/05/02 (Wed)

[30] 反響
詩人:八朔 [投票][編集]

几帳面に体を揺らしながら
正しさを気にしながらの毎日

部屋に生活感はない
澄んでいて
自分の存在を感じない部屋

小さなころに聞いた
頭がおかしくなるくらい
大音量で流れていた音が
ぼんやり、ぼんやりと
何も言わず遠くに離れていく

僕の内側では
濁らない何かが
濁ることによって
より一層はっきり、育つ

叫んでる

その姿勢は崩れ
その声は小さくなり
心意気は萎れ
想いは蒸発した

それでも僕の声は
反響し返ってくる
山彦のよう

たまに耳に叫び声が響くと
僕の奥の方にいる自分が、
ナイフで刺されて、痛い。
耳の奥から、痛い。と。

2007/04/18 (Wed)

[29] 空虚≒電車
詩人:八朔 [投票][編集]

虚ろな目は、
虚ろすら映さず。
濁った目は、
汚れすら気付かず。

悲しみの果て。
それは真ん中。
笑顔と涙の真ん中で
今正に止まってる。

望みが絶たれたのは、
とうに昔。
今はただ、
それを確認しながら。
空っぽな気持ちが私を運ぶ、
がたん、ごとん、
という音をただ聞いている。

それは乾いていながら、
どこか暖かい。
必要なノイズ。
それさえ聞き逃さなければ
どこへだって行ける。

欝陶しいくらい、
音量を上げて。
私を翻弄しながら、
ノイズは私の中へ。
それさえ見逃さなければ、
どこだって行ける。

2007/04/13 (Fri)

[28] 素晴らしい世界
詩人:八朔 [投票][編集]

ハロー・バイバイ・こんにちわ
こっちは元気だ
相変わらずの空元気
僕も少し息が楽になった

クソにクソを塗りながら人が笑う
涙を流した年寄りをシカトする
素晴らしい世界だな

今日という日の意味を
考える必要もなく
ただ僕には煙草に火を点ける時間がある
素晴らしき世界

トンネルの中で干からびた蝉が一匹
くるくると最後は空を回り





と回り。
それはいかにも否定的
それはいかにも偽善的
でもどこか笑えるんだ

マイ・リトル・マザーファッカー
明日は晴れるそうだ
何も考えてない僕らにも
とりあえず未来があるらしい

今日という日が
何の記念日でもないことに
昨日という日が
確かに在ったことに
乾杯しよう
多分また僕は泣いて
その後に笑う
素晴らしい世界だから

2007/04/04 (Wed)

[27] 地獄、3
詩人:八朔 [投票][編集]

3、世界の果て

とうにせかいはしろく
わたしはただぼたんをおすもの

無機質に
平仮名を心で繰り返す

そうじゃないと
こんな倫理的じゃないことはできない

泣き声を聞いたり
叫び声を聞いたり

そういうために大人になったのか、
と、問い掛ける少年の視線を打ち消したり

針で
全身を指されて
それに耐えるには

世界にも
自分にも
他人にも
感情にも

執着しないのがコツ

今日も
誰かを殺すボタンを押す
「誰か」は善人じゃない
それはわかってる
「誰か」は、
「誰か」を殺した人だから

いつ俺は
ボタンを押してもらえるのだろう

螺旋階段みたいな
ここから
早く、早く
死なないと
悲しくなってしまうよ

不感症なまま
消えてしまえばいい

裁く人がいるなら
そこはきっと天国だ

2007/03/31 (Sat)

[26] 地獄、2
詩人:八朔 [投票][編集]

2、墜ちていく斜め上

一言だとこうまで簡単だな。

いや、さ。
私はね。
これから−って思ってた。

これから、うまく行く。
これから、頑張る。
これから、大丈夫。

一回だってね、
自分が間違ったことをしたと思ってない。

でも、それを誰かが。
誰かが認めてくれたら。

そしたら、
明日はもっと頑張ろうって。
明日は、自分のために頑張ろうって。
(いつも自分のことばかり)

だから私は、ね。
誰かに涙をふいてほしくて。
それで頑張ったの。
(見返りを求めた
愛じゃないそれは)

一人じゃなくなるために。
そしたら、認めてくれない人を、
私も認めないでいたら。
(ハカイしたくせに)
一人ぼっちに。
一人になって。
何も残ってないの。
誰もいないの。
(私を認めない人なんて要らないよ)

子供は、いたよ。
大好き、だった。
でもね、いなくなった。
(私を認めないで叫んだから。
私の世界をハカイしたから。)
だからもう要らないの。
何も要らない。
(望むのは静かな体温)

あ、口に出さないで。
やめて。
もう私をこれ以上、
ハカイしないで。
するなら、
するならあなたも。
あなたも。あなたも。

2007/03/31 (Sat)

[25] 地獄、1
詩人:八朔 [投票][編集]

潮騒や
水面を揺らす風
それらに一切の感情がなくなるとき
人はそれを
虚無、と好意的に解釈したり
絶望、と感情を無理に混ぜようとしたりと
あるいは言葉という媒体を借りて
スケッチをしようとしたりします

つまるところ写したいのは
地獄の風景なのです


1、虐げられた少年、その後

ヘッドフォンをしていますが
何の音楽も流れてはいません
何も聞きたくないゆえの
耳栓の代わりですから

小さいころのことを思い出します
大声で叫んでいました

叫んでいたのが僕だったのか
世界だったのか
母だったのか
犬だったのか
それは覚えていませんが

ただ、
その時の金切り声を
ある時期までは
消したいと願っていたのですが

その音がなくなった瞬間
色盲になったように
世界が真っ白になってしまって
何も聞こえなくなってしまって

その喪失感を見ないためには
耳栓があるから世界は白いのだと
自分が逃げているからだと
そう思うことにしたのです

自分と世界の二択で
自分を捨てたのですが
そこにあると思っていた選択肢は
本当はなかったのかもしれません

ヘッドフォンを手放したいですが
絶望を認める勇気を持つのは
僕に希望が見出だせない限り無理でしょう

2007/03/31 (Sat)
30件中 (1-10) [ 1 2 3
- 詩人の部屋 -