詩人:理恵 | [投票][編集] |
青い蝶々がひらり、ひら。
木の根元を行ったり来たり。
甘い甘い蜜があるのか、
それとも違う何かがあるのか。
私にはわからない。
だけど蝶々は知っている。
離れてもまた、くっついて。
くっついてもまた、離れていって。
まるで秘密のお話してるみたいに。
おっと、蜂とぶつかりかけた!
びっくりした蜂は怪訝そうに
目を背けて通りすぎていく。
それでも蝶々は行ったり来たり。
まだまだ根元の周りをひらり、ひら。
きみのそれを知りたくて
ふっと上を見てみたら
木の葉が風にそよいで
緑の小さな実がぽつり、ぽつ。
この実が赤く熟れたなら
どんな匂いがするんだろ。
どんな花が咲くんだろ。
その花が散ったとき
どんなふうにこの道を彩るだろう。
きっと青い蝶々は知っているから
離れられないんだろう。
まだまだ、木の根元をひらり、ひら。
ねえ、僕にも
きみのそれを教えてよ。
2019.11.25
詩人:理恵 | [投票][編集] |
桜の花びらがはらりと落ちた
ぷかり、ぷかりと浮かぶのは
狭い川の水面(みなも)の上
こうやって漂って
どのくらいが過ぎただろうか
もう何万もの花弁がひだまりの中
海へ向かっていったというのに
それはまだ、ここに留まったまま
針が壊れたコンパスは
もうとうに捨て去った
新しいコンパスを手に入れても
使い方を忘れてて
ぴゅー、ぴゅーっと音がする
枝から摘まれた花びらを
娘が笛がわりに口元にあて
小さな子どもが人指し指をさし
駆け寄っていく
楽しそうなその声に
もう一度コンパスを眺めてみた
鼓膜の奥で
青い細波の音がする
それはきっと
儚い虚構に過ぎないけれど
不器用に ちぐはぐに
音の鳴る方へ進み出し
一日、二日、三日と重ね
あれから六十四日が経って
それから八十四日を越えて
気がつけば
羅針盤はいつでもここにある
針が見えない夜に
月がキラリと光るなら
それに導かれてみようか
なんて
思えたんだ
だから
わたしの想うあなたも
流れるままに そのままに
思うままに道をゆけ
もう何も
背負うことはないから
2019.11.25
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
古井戸に石を落とす
耳を澄ます
何にも
聴こえない
何にも
思わない
エンドロール
ボクシング
ボイジャー
テーブルに落ちた水滴を指先で横に引っ張る
トレコロール
ガーゼ
キューブリック
空に落とされた
凧揚げの紐が指先に食い込む
タイフーン
アプリコット
ミレニアム
後悔ばかりたから振り返る気もしない
何にも無い
空
詩人:アサスケ | [投票][編集] |
あたたかい場所から
たった一人
暗い道を抜けて
こわい思いをしながら
あなたは会いにきてくれたんだね
今は少し戸惑うかもしれないけど
これからはここが
あたたかい場所になるよう
守っていくよ
私を選んでくれたあなたのために
詩人:サエ | [投票][編集] |
女は抱かれたいんじゃない
求められたいんだ
抱きしめられて満足するときもある
身体が感じるだけじゃなく
こころが感じるから
文字だけで嬉々として
声だけで熱くなる
指が触れただけで濡れていく
大人になるほど
少女に戻っていく
身体と心はいつだってアンバランス
詩人:サエ | [投票][編集] |
今宵幾度も思い出す
帰省の知らせを聞いたときの
あなたの声の高ぶりを
ちょっと早口で嬉々する姿を
まぶたのうらで思い浮かべる
また会えるその日まで
わたしの心臓はもつのかな
詩人:アルバトロス | [投票][編集] |
あのとき君に なんて言ったっけ?
覚えてないや 楽しい響きだけが甦る
こんにちは 元気ですか?
僕はそこまで 悪くないかなって日常
会えない夜を 会いたい声が
埋め尽くして 眠りにつく
明日の君に なんて言うんだろう
分からないや 明るい色で空を描く
詩人:EASY | [投票][編集] |
間違ったことができるほど
ビックバンは馬鹿じゃない
余命88.5年
地球88.5週
数学はっぱ64
命88.5キロ
愛は88.5トン
余命88.5年
いつか死んでしまうから
命より強く抱きしめる
詩人:結愛 | [投票][編集] |
止めておいた方が良かったね
私はただ音楽がしたかっただけだよ
なかなか出来なくて
何度も何度も繰り返して
漸く出来上がった時の達成感
嬉しい気持ちが湧き上がって
調子こいちゃった
ただハモりの楽しさを味わいたかっただけ
歌を楽しみたかっただけだよ
私も思ったよ
「あれ、これしつこくしてない?」
「今までの事が有るだけにヤバくない?」って
自分に気持ち悪さを覚えた
嫌われてたことは分かってたんだ
本当は分かってたよ
分かってたソレを
ハッキリと示された瞬間
苦しさと共に納得もした
でも、もっと早く示してほしかったな
社交辞令でも中途半端な優しさなら
要らなかったから
あの人の分からないところで
この苦しみを吐き出す
仲良くなりたかったな…
辛いな…
吐き出したら切り替えよう!
これからは距離を取るべきだな、きっと!
嫌な思いをさせるのは もう嫌だし
辛いけど前向きに行こう