詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
産声を上げてまもなく死に絶える
はじまりとおわりはたったの一行
歴史にも墓石にも残らない途中経過の
今、
が
冗長だ
なんて
大袈裟なんだ
生死よりも
身近な人間たちとの
折り合いのつけ方に
東奔西走四苦八苦
どうでも良いよ
明日死ぬとわかっても徹夜して
心臓が止まる直前まで後悔を繰り返し
何もしないで大事なことを後回し
スペースキーを打ち続けるだけで
埋まる半生
大袈裟でも何でもない生活苦
四畳半
声にならない声を上げて
もれなく必死に耐える
前触れなく死に絶えるまで
詩人:EASY | [投票][編集] |
正しいという四角さは
その鋭角な冷たさを
死角とおんなじ響きにさせて
必然性を奏でてる
カナリアが歌声を
奏でてるという事と
関係性があるのかは
科学がそうじゃないものを
科学している様なもの
昨日と明日を思うのは
いつも今日であることは
神社で引くおみくじの
凶を笑う様なもの
詩人:サエ | [投票][編集] |
私は怖いから
いつも誰かに合わせてる
いつも誰かに流される
「大丈夫?」って聞かないで
「大丈夫」ってしか言えないから
あんまり心配しないで
ひとりのときしか涙がでないから
私の意見なんて待ってないで
自分の意見なんてとっくに浮かばないの
「やって」と言われたら
出来ないことも「やらなきゃ」いけない
やって出来ない自分にうんざりして
またあなたに責められる
私は人形みたく下を向いて動かない
泣くこともない
心を閉めて長い時が過ぎるのを待つだけ
あなたの不機嫌はいちばん怖い
原因も分からぬまま
やみくもにあなたの機嫌をとる
毎日自分で心を殺してた
あなたのそばを少し離れてはじめて
人に言われてはじめて
自分の異常に気付いたの
自分の意思もない私は
自分を守るために嘘をつく
あなたは優しい
でも怖くて仕方ない
私は悪くなかった
ただもうきっと
自分を好きになんてなれない
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
抜き取った背骨を並べ立てて
標にしたいよ
他に寄る辺もないからね
独り、薄笑いを浮かべる姿は
共感を得られず
そっと潮が引く
割れた海の向こう
輪の中心から外れて裏に回って
ハンカチを落とす要領で
背骨を抜き取っていった
分岐点
導いてよ
尊い存在
推しとして
教えてよ
この先
どこをどう行けば?
次世代アーティスト気取りのS字
雰囲気だけじゃないってさ
証明するなら矯正してよ
標として
最適化
させてよ
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
耳元から心臓まで貫かれる
俺にとって刺さるモノは
貴女にはどうでも良くて
一緒にいるのが不思議だな
その実何の不思議もなくて
俺が可愛いと思う貴女が
「かわいい」と云う相手が
一緒にいるのが事実だから
昨日林檎を食べた虫達が
今日どんな騒ぎを起こすのか
興味はなくて
その場に座って静かに思い返す
可愛い貴女と過ごした日々を
ふたりの蠢きは
裏返したダンゴムシの脚を見るよう
愉しかったな
あいつは昆虫じゃないけれど
詩人:サエ | [投票][編集] |
声をきけるだけでいい
姿をみるだけでいい
顔をあわせるだけでいい
手を握るだけでいい
抱き合えるだけでいい
全ての欲が満たされるのはいつ?
あなたに会えば満たされる
あなたとなら満ちていく
適度な距離でしか生きられない恋は
儚くて愛しいけど 寂しくて虚しい
会いたいなんて 好きだなんて
ことばにしたらあっという間で
惜しむほど大切にしまっておいても
口にしたら驚くほどあっけなくて
どんな声か どんな風か
思い出そうとすればするほど遠くなっていく
夢中になりたくないなんて
夢中なひとが言うこと
今夜は夢の中で逢えますように
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
頭を下げられない
心底弱いのだろう
ビールのあてに辛子明太子を覚えた
臭いけど美味いよ
この口ん中でバラける
細やかな一粒一粒が命になりたかったであろう
それぞれを噛み締める
美味い
人なんかに味わられる為に
鱈も身ごもる仕度をしてはいまいに
なのに美味い
子を思うなら
俺も自己犠牲的にならないと
美味い
詩人:結愛 | [投票][編集] |
ドッキリの一言で片付けられた
私の数ヶ月
黒幕は見えない
私は誰にドッキリを仕掛けられたのか
ドッキリの一言で片付いてしまった
私の恋
好きな人はもう見えない
まるで夢のようだった
まるで現実じゃない
生きてない日常
振り回される日常
後半は悪夢にも似た夢だった
この数ヶ月間がなんだったのか
私には未だに分からないまま
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
日の出が見えない
高層ビルが邪魔をして
ジャングルジムを登ったくらいじゃ
達成感は得られなくなった
それくらい
目覚ましい人類のバージョンアップ
新しく自分を書き換える時間がない
ぼくの心臓はぐるぐる回る
思考も身体も停止したまま
人生の何にも手をつけられずにいる
モノローグに次ぐモノローグの果てに待ち受ける死よ
ロック画面に設定して
いつでも見られる状態にすれば
少しは変化があるかな
正午
真上まで来れば
高層ビルがあったって
陽だって見える
雲が邪魔をしなければ
大気圏を突き抜けるまで
アップデートを繰り返さなければ
ストレートには味わえないのか
厳しいな
日の目が見えない