| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
人生に
早送りのスイッチがあったとして
いつでも押せたとして
いつ押すのか
週末の休みの日迄の辛抱だと
仕事に喘ぐ日々
喘ぐくらいなら
早送り
望んで選んだ仕事ではなかったのか
馬鹿みたいなリプレイの押し問答
損なのか得なのか
笑われたいのか
笑えないのか
早送り
場面場面の
かくれんぼ
決して人生に巻き戻しは
妄想以外にはありえない
もう無理
早送り
母ちゃん
貴方が俺を産む苦しみの時
早送りできたらな
良かったのに
早送り
いつか来る
死ぬ間際の苦痛の絶頂すら
早送り
どうしてだか
それくらいなら
レコード盤に針を静かに乗せる
早送り
できないように
| 詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
もう此処に来て十数年
あの頃も夜中眠れなくて朝方まで起きていた
窓のカーテンの隙間が明るくて
月が出てるんだな
そっと
カーテンの隙間から空の月を見た
月も
こちらを見ていた
| 詩人:まろふに | [投票][編集] |
風に舞うは淡い春霞
雪の残り香とそぞろたわむれて
春の訪れを待って会いに行こうか
冷たい夜風に桜並木と揺れる恋心
君の声はまるで花霞
花びらに触れたような口づけ
風も刻も見えないけれど確かに流れ
近づけられて 遠ざけられて 揺れて舞い散る恋心
宵に君をそっと連れだし
夏には輝き 秋に深まり 冬に暖め
春に芽吹かす恋心
| 詩人:ふくざわゆいと | [投票][編集] |
今日くらい
一日 揺れなくたっていいのに
テロップなんて出なくていいのに
穏やかに晴れた
暖かな日でいいのに
どうして…
まるで
誰かが呼んでいるみたい
あの日を、忘れさせないために
あの日が、忘れ去られないように
| 詩人:ふくざわゆいと | [投票][編集] |
誰かに「好き」と言われたかった
安心したかった
自分は 愛される資格があるのか
その'答え'を 探し求めていた
仲間外れにされるたび
寂しさに 囚われて
イジメられたり 暴力の中で
自分の価値を疑い 悩んだ
助けてくれる人を 「誰か!」と求める前に
「助けて!」となんて言っていいのか
それさえ分からなかった
誰かを巻き込んでしまうのではないか
周りが上手くいくなら それでいい
我慢し続けるうち
感覚が歪み 軋んで 乱れ
狂い 話せなくなっていった
いつも 長袖を着ていたのは
傷ややけど あざを隠すためだった
| 詩人:サエ | [投票][編集] |
男は扉をたたくだけ
自分から開けることはしない
中から女がでてくるのを待つだけ
最後のトリガーを引くのは女
引かせるように仕向ける男
なんて
ずるいよね
| 詩人:サエ | [投票][編集] |
久々でもかまうことなく
わたしを抱きしめる腕に迷いはない
会いたかったと
抱きしめながらあなたが溢した
ねぇ
よっぽどわたしの方が逢いたかった
全部欲しいと
瞳をとじてあなたが漏らした
ねぇ
とっくにわたしの全てを拐っていった
時計の針は
あなたとわたしのときばかり
やたら早足で
どれだけ願っても
止まってさえくれない
あなたの感覚を反芻しては
乱れた心を押さえつけ
あなたの声にさぇ反応する
冷えた身体を縮こませ
あと幾ら刻が経てばと
ひたすら画面に訴えかける
あなたをひととき手にする為に
ピアスを片方なくしたみたい