詩人:こちこ | [投票][編集] |
たくさんのものが溢れている
見失いそうな道がある
私の前に
ものがあるのに不安で
掴めない何かを恐れている
何がそんなに
心が求めているものはわからない
音が聴こえてくる
確かに聴こえてくると思うのに
微かすぎて響いてこない
大切なのは
きっと人だろう
人の体温 命 地球
星 海 空 そして大地
そう分かっている
でも分かっていないから不安になる
考えることをやめてみよう
何もないところに幸せがあるのに
気づかないなんて馬鹿みたいじゃないかな
詩人:こちこ | [投票][編集] |
あなたの右手に
触れられない
どうしてこんなにさみしいか
寒さとぬくもり
全然違う
人のぬくもり
さらに違う
フラフラした気持ち
好きですあなたが
仲良くしていたい
詩人:こちこ | [投票][編集] |
この冬 特に 寒くて
私は 不安の帽子をかぶっていました
泣きじゃくる 顔は 子供みたいで
何故 消えてはくれない いつまでも
強く生きようと 人に合わせ
いつも強くなくて ボロボロになる
笑っていいのか 喋っていいのか
私は何なのか 空に問いかけたくなる
あなたは寒い冬に
何を考えていますか
私は情けなく立ち止まり
立派な顔もしてません
神様 心の中の冬は
どうしたら自分で抱えられますか
どうしたら人に打ち明けて
楽になれるのですか
ずっと泣きつかれるのは
もうやめにしたい
誰かに泣きつけない私は
学んでも学んでも人並みになれない
神の意地悪に付き合わされて
冬を感じて
冬を見ています
詩人:清彦 | [投票][編集] |
若き日の疑いは間違いじゃなかった
溢れる快楽、享楽
僕だけが世界で孤独みたいに
喧騒は鳴り止まず
いわゆるやったもん勝ちの世間
空なんか誰も見てないし
政治はルサンチマンの掃き溜め場
イキがる価値も見当たらない末に
そしてやはり
行く宛のない欲望
簡単じゃないんだよね
空気を読み漁った挙げ句
みんな自傷行為のように
過ちの連鎖を犯す
あいつもこいつもどっちもどっち
歌詞もない、情念もない音楽みたいに
空虚に空虚を重ねていく調べ
開き直れないままの
僕を一瞬で通り過ぎていく
怒りの音色
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
団地が近くにある
仕事からの帰宅途中
たぶん
団地の住人らしい
初老に近い婦人が
重そうな買い物袋を手に下げ
家路を歩む様子を
運転席の車窓から見かけると
他界した母の事が思い出されて
どうにも
車に乗せたくなる
詩人:gof | [投票][編集] |
躊躇いのカスタネット
靴ひもほどけたコンバース
誰もいないステージで
響くのは音じゃない
ぼくらの鼓動だ
脈々とつながれた生命
この呼吸も 言葉も
あたりまえじゃないよ
思い悩みもよいでしょう
暗い深海に堕ちてもよいでしょう
苦しみを含まない音楽は
ほんとうの楽しさを生まないように
意味のない出会いや悲しみはないなんて
だれがいったか
しんねーなんて
ただ 棄てたセリフの余韻に
ほんの少しだけ かけて 信じてる
自分がいる 振り返るそぶりもみせずに
ただひたすら叩いて
コピペじゃつまらんよ 人生
だれにだって 底の底には
青い炎を焚いているんだぜ
こんな呟きには全く意味がない
たまに思い出して 忘れさられるはきだめ
だからこそよいんだって
画面のそばでThe 1975が流れる刹那の様に
はかないから美しいとか
芸術だから尊いとか
そういうことじゃなく
こんな場所があって
今 いま いま
たったいま、きみの目にふれたなら
それでいい
きみの町は どんな香りや風が流れる?
美味いもん食って だらけよう
身を粉にして働いたなら 眠ろう
いみはない いみはある
明日はくる? 今を呼吸した証
それだけでよいでしょう
詩人:gof | [投票][編集] |
たゆたうのは
きのうにすてた鏡のカケラ
都バスに揺られ
風もオルゴールみたいな音色に
渇いたのは世界じゃない
夕闇の町
廃れたスーパーで買ってもらった
メロンソーダ
ただそんなものだけでよいのです
言葉は必要 コトバはいらない
胸の底ではまだ涙は残ってる
振り向いた先に海か太陽か
か細いならば 尖らせればいい
だれか じゃない 君や僕の人生
潤わすのならば あの日の追憶に
きっとある
今夜 メランコリーにまみれても
その端っこに 好きなあの日
好きなあの人のことを 繰らそう
焚こう 呼吸 瞼裏 深呼吸
シーンは 今にだって紡げる
詩人:猫のあし | [投票][編集] |
憂鬱な顔で仕事へ向かう
早足で歩く僕の足元に
ピンクの花が風で揺れてた
少し顔が緩む
優しい北風が頬を撫でて
少し顔が赤くなった
今日も仕事がスムーズに終わりますように
うちのワンコが穏やかな一日を過ごせますように
詩人:こちこ | [投票][編集] |
涙の海を渡ります
冷たい素足で
一歩ずつ
渡り終えても
難しい
風が私を欺くでしょう
苦しい私は
楽しい私
いつかは夢がかないましょう
涙の海は広いけど
日が満遍なく当たり
そのうちに小さくなっていく
子供が遊んでいた
あの海岸の砂
波に乗った
若者たちの、心
どうして生きている
どうして生かされている
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
いつか
暖炉のような詩を詠んでみたい
ログハウス
そこには皆があつまる
しっかりと蓄えられた薪
そのかたわらたには
乳を貪るように吸う何匹もの子犬達を暖かく抱く母犬が横たわっていて
パチパチとたまに薪の焼ける音がする
コーヒーでも紅茶でも、ココアでも好きな飲み物をマグカップに入れて
誰かはテーブルの前の椅子に腰掛けながら、誰かは床で毛布にくるまりながら、あるいは立ったまま
皆、誰かの話しを
時を惜しまず、ただ静かに噛み締めるように聞き入っていて
なにげに、窓の外へと目をやると
白熱電球の灯りが冷たいガラスの向こう側の景色に降る雪を一瞬だけ、幾度となく照らす
耳を澄ますと
語り手の話す言葉の隙間を縫うように
外のもみの木の葉が
風に抗う音も聴こえてくる
気がつけばもう
子犬達のお腹はパンパンだ
すやすやと寝息を立てはじめていた
柱時計の鐘の音が12度
ボーン、ボーン…と
夜のしじまに皆をたしなめるように
鳴り響く
それまで気にもとめていなかった振り子の音が妙に耳についた
暖炉に新しい薪をくべ直す
もう少し皆、暖かくしていってくれ
明日もまた早いけれど
夜はまだ長いのだから