詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
だだっ広い畑の稲穂の穂先に
トンボが止まろうとして
降りた間際
そのまま真っ二つにさらりと裂けて
風にばらけた
君は「向こうへ行く」
と言った
僕は「そうか」
とこたえた
へしゃげたビールの空き缶を
90gのビニール袋に何袋もまとめ
売りに行く
大切なスターウォーズの前売り券を
縦に二つに裂いて
片方はわたし
もうこうかいしないうみに
ただよっている
おたがいの
はずだった
詩人:理恵 | [投票][編集] |
ゆら ゆら ゆれる 月
水面に反射して
きら きら 光る 星
打つ波にかき消された
希望なんてないよ
ふわり 空 とんで
どうか神さま
暗い夜を包んで
やさしい夢を見た
あの子のなみだ
飲み込んだ
ただそれだけを 歌ったの
ゆら ゆら ゆれる 目が
世界のすべてを見たように
きら きら 光る 道
見失ったと嘆いてた
きっと みんなそう
思い込みたくて
ひとりぼっちの
孤独 抱え悩むのは
果てない夢を見て
安心したいの
わかっていた
もうそこには 行けないんだ
どうか神さま
何度願って泣いたの
やさしい夢を見てたい
どうか神さま
何度願っても結局
やさしい夢を見た
あの子のなみだ
消し去るの
ただそれだけを 知ってたの
2018.11.12
詩人:山崎登重雄 2 | [投票][編集] |
目覚めることなく目覚め
眠ることなく眠る
会話無く過ごし
鏡の間の独り言
おはよう
自分との闘いを今日もまた
並べ続けて倒し続けて
ドミノドミノドミノ
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
自分の気持ちを代弁する
タイトルに出会ったから
本棚に火をつけて
スマホもイヤフォンも持たずに
部屋を出た
迷惑極まりない私はここだよ
過去から未来へ
いまを素通りするたび
通り魔的に罪を犯していく
俺じゃない
私じゃない
誰でもない
自分でもない
自分がない
探しに行かないと
追い詰められた時
目にしたタイトルが
朝日を拒んだ
代わりを見つけたんだ
警察に笑って出頭
可笑しいのは世の中じゃない
そうだな
仕組みは大体わかったけれど
詩人:ユズル | [投票][編集] |
街の灯り 星は微か
車の窓から 見上げる
藍色の さむいさむい夜
変哲も無い 駐車場
帰ることもできず
寒さに震えながら
涙を 流したまま
どうしていつも
ずっと さみしいまま
家の窓の灯りが
ぽつりと 消える
玄関の防犯灯が またたく
半端な 半月が 浮かぶ
涙は 意味もなく 消える
ずっと さみしいまま
詩人:こちこ | [投票][編集] |
晴れの日も
曇る日も
或る線がいつも
世界に流れている
糸のように
水のように
一本また一本と
繋がるようで
バラバラなようで
不思議な規則を正しく
進んでいく
乗っかって
自分の命を乗せて
誰かの涙を乗せて
ともに行く
いつか辿り着く
豊かな明日へ
色とりどりの
人生に
一本の線に込めた夢
叶わぬ夢か
まだわからない
何もまだわからないんだね