詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
願っても壊れてしまったら
叶わないことは教わった
その一文の個性が擦り減って
消えてなくなるほどに
幅広く流布した
誰もが目にして口にして
見知って
見向きされなくなるまで
時間はかからなかった
それでも原本を
大事に胸に抱くのは
言い出しっぺの張本人だけ
みな
暗闇に目が慣れて
一筋の光が見えなくなっていた
或いは
眩し過ぎて目がやられ
何もかもを見失った
前を向いても未来が視えない
振り返っても足跡が見えない
見上げても星は見えず
太陽は永久に登らなかった
俯いて暗がりに身を溶かす
視界も本懐も瓦解した
願っても壊れてしまったら
フィリアフォビア
叶える望みも見失う
いつか必ず
だから目を逸らすな
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
人生のつまらない部分をカットしたら
2時間にも満たない
短編にもなるかどうか怪しいな
助長の蛇足の長回し
飽き飽きだ
死ぬほどつまらないのに
途中でやめないのは
観客じゃないから
転ばない結末のない人生の半ば
10代で死ねば
27歳で死ねば格好もついたか
どうだか
2歳7ヶ月でピークを過ぎたが関の山
売れなくなったロックスターと一緒に歳を取る
使えないワンシーンの連続の果て
「いい人生だった」とFin出来ないが
それでも笑って死にたい
詩人:EASY | [投票][編集] |
夜が暗いのは
昼が明るいから
悲しいのは、楽しいから
未熟なのは、完璧だから
すべてそうであることが
すべてそうであったとしても
ぐちゃぐちゃに捲き込まれ
よろけて転んで方膝着いて
手を伸ばしてみたりする
例えね
すべてそうであることが
すべてそうであったとしても
詩人:EASY | [投票][編集] |
君が言葉で輪郭を
作ろうとしてる時
僕は不幸を哀愁で
語ろうとしてる時
誰も知らない愛しさを
君が作っている時に
僕が君を照準に
慣れない笑みを見せる時
詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
痛みと愛の境界線に立って
カミソリを右手に
一人で
美味しいうどんを
食べに行こうって 思った雨の日
歯磨きして
白い気に入ってるシャツを着る
「ねえ、君の子供、おろしたくないよ」
雨の中でアジサイって、
ないてるのかな? それとも笑ってるかな?
君はどう 答えたんだろう
なにもかも忘れてしまうことが正解?
出会ったあの日の
君の、
運転する横顔
長い睫毛
大きな瞳の、まばたき
綺麗だっていうと照れるなんて 笑う
照れると困ったように 下を向いたね
進む時間はゆっくりしてて
君と過ごした
ほんの僅かの時間は
まるで日本じゃないみたいだった
優しい時間が 流れて
懐かしいような音楽の中で
きっと離れてしまっても
この瞬間は 永遠なんだって
10代の頃のように本気で感じた
目を閉じたら
いつでも
あの日に帰れる
毎日でも 手を繋いで 眠れる
「ねえ もしだよ?」
君は男の子なのに、
女の子みたいな質問ばかり
「もしだよ」
私からはいえなかったよ
だって私はもう大人だもの
でも「もしね、」そう
言えたら 良かったのかもね
今もあの日の君と私は
愛しさを伝え合うみたいに
見つめあってるよ
瞼の中で
ここにはいない
どこかの私は
君の子を抱いて 微笑んでいる
詩人:ひトも | [投票][編集] |
そいつは真似して少し笑った。
意味など解ってないのだろう。
頭に直接語る癖。
いい加減にやめてほしい。
人が羨ましいという。
意味のわからぬ音を発して、
今夜も僕を悩ませる。
僕らは空も飛べないし、
瞬間移動もできやしない。
何がいいかと尋ねると、
ご飯をいっぱい頬張りながら
ほころぶ顔が良いという。
光合成する彼らには、
美味しいご飯は必要ない。
人が羨ましいという。
僕を怒らす音を発して、
夢でも僕を悩ませる。
僕らは食べなきゃ死んじゃうし、
食べても1000年は生きられない。
何がいいかと尋ねると、
他人のために困ったり、
涙するのが良いという。
クローン産める彼らには、
愛する誰かは必要ない。
振られた夜に夢に見る
その子をつついて首をかしげる。
そいつは真似して顔を濡らした。
その泣き顔は不細工で
僕は思わず少し笑った。
詩人:EASY | [投票][編集] |
ぼんやりとした盆踊り
遠くで光る虚ろな影は
金魚すくいに救われる
未成年の少女たち
浴衣を着て微笑んだ
焼きそばを売るおじさんは
冬は僕の友達だ
花火が上がってしまうのは
男と女がいるからだ
それが終わってしまうのは
いつかみんな死ぬからだ
それでも僕らが生きるのは
綺麗な夜空があるからで
それでも死んでしまうのは
それを逸らしちゃいけないからだ
詩人:EASY | [投票][編集] |
差し歯の色ですが
保険適用内なら、もっと近づけるんですが
自己負担の方は、高く付きます
如何なさいますか?
お金のことは気にしないんですが
少しくらいの歯の色は、もっと気にしないんで
これでいいです
でも、前歯のことは、気になさってしまう
ということでしょうか?
そうですね
それすらも気にならなければ
もっと気楽に生きていけそうですね
でも、そんな奴が居たら
凄そうだけど、ちょっと恐い
前歯がないのに笑ってて
平安な奴でしょ?
インドとかにはいっぱい、いそうですね?
しかも大抵いい人だ
分かります、その感じ
そういう人達の方が、逆に魅力があったりするのかも知れませんね
でも
先生は歯医者だ
みんなが前歯を入れなかったら困るでしょ?
仕事にならない、そんなことになったら
この世から歯医者がなくなっちゃうかも?
そんなことないですよ
それならそれで、何か違ったことが出来る
寧ろその方が、私は幸せかも知れません
そういうの、分かります
僕は、インドの仙人みたいにはなれなくて
今日こんな風にして、歯医者に来たけれど
それはそれで、すごく良かったことと同じです
先生に会えたから
差し歯を入れたくて、歯医者に来た
それはごく普通の事ですよ?
言われてみれば、そうですね
ごく普通の事です
でも、私も歯医者になって良かった
今日あなたに会えたから
そういうことですよ
そろそろ次の予約の方の時間になります
そうですか、今日はありがとうございます
30分は食事をなさらないで下さい
そう言うことになってるんですね?
気になさらないで下さい
そう言うことになってるんです
詩人:とーれぱすて | [投票][編集] |
エアコンで冷えた身体が
あつさで
ゆっくり とけていく
空の狭さとたくさんの光の反射が
「都会さ」を物語るこの街に
いったい
どれくらいの優しさがあるだろう
どれくらいの悲しさがあるだろう
気だるい暑さを振り切って。
優しさを求めて
今日も ただ歩く
詩人:EASY | [投票][編集] |
白が白である意味を
語る者は、そういない
同じように、僕たちは
自分らしく居ることに
不安がっているだけで
白が白であることに
意味なんてありゃしない