詩人:あいる | [投票][編集] |
ちょっと長くなるよ
ゆっくり急ぐよ
眼を閉じても
そうじゃなくても
ボクが
ボクじゃなくなるくらいに
ふぉろみー
いますぐ
声なんか蹴飛ばして
言葉よボクを拐ってくれ
影みたいに付きまとって
心の陰からストーキング
今か今かと
音になる前の感情を
抱き締めたかったのに
羽根は捕捉され
泥を補足され
逆に不充分で霞んで墜落
未完成だから
いいのかもしれないんだけど
時は短し記せよ音畜生め
甘さを控えない感じが好き
飲むのが目的じゃなくて
弾けるのが羨ましいんだ
炭酸は花火のよーに
パッと咲いて染みた
要領よく繋がってない思考回路
容量用法の解らない気持ち
いつまで経っても
言葉が声に
文字が音に
心が想いに
追いつかないんだ
迎えに行こう
想像するより先に創造して
4次元の曲がり角で
偶然を装って出逢おう
物心ついた頃からの
この内職みたいな作業
もはや呼吸より無意識に
余計なお世話
まとめて相手するよ
最後まで看取ってやるから
この羽根に飛び乗れ
Follow me
詩人:猫のあし | [投票][編集] |
空は泣いたり笑ったり
風は冷たさが和らいでく
涙が溢れないよう
空を見て仰ぐ
一つずつ変わってく
1日1日すすむ
白く染まった景色が
いつの間にか花の色に染まっていくように
僕の行く道も
きっと新しい色に染まっていく
空が青く大きく広がるように
僕も明日は笑ってる
大丈夫
また 白い雪がかぶる頃まで
一人でも 歩いて行こう
詩人:EASY | [投票][編集] |
人差し指と親指で
軽くリボンをほどく
その箱はトータルに
適度なものだ
その大きさ
その重み
その色からその形
何処を取っても隙がない
実際に開けて見せたなら
そこには何もなく
空っぽだ
だから何だと言われれば
何でもないもの
ではあるが
それが何だと言われれば
それが愛だと言ってみる
詩人:EASY | [投票][編集] |
それなりに歩いてみる
足はちゃんと動いているのか?
手はちゃんと振れているのか?
それらはちゃんと
交互に交差しているのか?
それなりに奇妙な感覚を
帯びながら
僕は、これらを行うのだ
歩き疲れたら
座るのだが
座るために必要な筋力の加減と
座るために必要な椅子の様なものを
照らし合わせる為に必要な思考が
ただそれを
行っているのだ
詩人:EASY | [投票][編集] |
僕と君の間にあるもの
その距離にあるものは、一体何なのだろうか?
触れ合えたら埋まるのだろうか?
分かり合えたら埋まるのだろうか?
見つめ合えば埋まるのだろうか?
そもそも僕は
何処から何処までなのだろうか?
爪先から、つむじまでなのだろうか?
生まれたときから、今日までなのだろうか?
そもそも僕は
何から何までなのだろうか?
生まれてから死ぬまでなのだろうか?
そう思うことから、そう思わないことまでなのだろか?
僕と君の間にあるもの
その距離にあるものは、一体何なのだろうか?
そもそも
僕と君の間に距離など
本当にあるのだろうか?
それとも
恋をする為にとった距離なのだろうか?
それならば
それは、僕たちの秘密だ
僕たちは植物のように
その苦悩を吸って、愛を吐き出し
僕と君との間を
そうやって
埋めていくのだから
距離のない処まで
それはあまりにも
切なくも儚いので
神様の秘密だ
詩人:理恵 | [投票][編集] |
目の前はらりと木の葉が落ちた
この感覚はなんだろな
胸にぽつんと生まれた
しこりのような違和を感じる
鞄から小説を取り出して
読みながら歩く並木道
笑いながら真っ赤な色をした
ランドセルに追い抜かれてく
この感覚はなんだろな
僕はあの子を知っている
初めて見たあの子を知っている
あの無邪気な笑顔を知っている
また小説に目を落とし
並木道を進んでく
視界の端が眩しくて
顔を上げたらきらめく川面
ふわりと黒髪が揺れた
この感覚はなんだろな
今揺れたのは誰の黒髪
パタリと足元で音がした
手の中に小説はない
閉じたページを開こうと
伸ばした手に重なった
白くて細い真珠の手
この感覚はなんだろな
拾い上げて前を見た
目に映らない季節がよぎる
この感覚はなんだろな
とても大切な何かを
忘れてる気がする
H30.2.23.Fri
詩人:EASY | [投票][編集] |
希望という観念が
絶望という観念が
それ達を支配する
私という観念が
あなたという観念が
それ達を支配する
真っ黒な煙を
吸わんとばかりに
それ達は
咳ごんで見せるが
それも、また
吸える空気がないことの
表現にしか、ならない
しかしながら、それ達は
毎日沈んでくれる
夕日のように
美しいものでもある
詩人:EASY | [投票][編集] |
夢でよかった
何度そう思っただろうか?
まだ幼かった頃の記憶には
母親の温もりを
誰もがその様に
感じるのではないのだろうか?
夢でよかった
それがたとえ
どんなに悪夢であったとしても
僕たちは安堵した
夢でよかった
そんな風に
夢の中で思うことも
希にある
そんな時でも、僕たちは
夢のことを忘れてしまう
そのことを
何となく曖昧に
誰かに話してみたりする
そんな時、僕たちは
ほんの少し淋しげに
ほんの少し不思議げに
ほんの少し温かく
これも夢だと思いだす
幼かった頃の母親の
温もりの様に
詩人:ひトも | [投票][編集] |
その不可逆さはずるいと思う。
底に沈めた錆びた錨も、
底に沈んだ宝の箱も、
手が届かないと諦めたのに、
そのにおいがした途端、
泡みたいに浮かび上がって、
否が応でも思い出す。
水面で儚くそれは割れ、
再び沈んでゆく様を、
なすすべも無く眺めて終わる。
その一方的な不可逆性は,
どこかそうだ。夢にも似てる。
その不可逆さはずるいと思う。
底に沈めた錆びた錨も、
底に沈んだ宝の箱も、
息が続かず届かぬ日々も、
そのにおいがした途端、
足掻く私をからかうように、
否が応でも思い出す。
水面でゆっくりそれは割れ、
どこかに霞んでゆく様に、
手を伸ばしては届かず終わる。
その一方的な不可逆性は,
どこか、そうだ。あなたに似てる。
詩人:理恵 | [投票][編集] |
暗い吹雪の向こうから
列車の明かりが近づいてくる
どこの雪国の景色だろうと苦笑して
開いた車両に乗り込んだ
窓は曇ったまま 街の灯りを曖昧にして
それでも降り続く雪は目に映る
髪から白い雫が落ち
ひやりと手の上を濡らしてく
さっきの苦笑が嘘のようだ
急に親しみを覚えてしまった
その冷たさに
その容赦のなさに
この窓の向こうは
私の心だ
十個の駅を通りすぎ
降り立ったホームには
サクリと足跡が記されていく
ああ、私の心だ
コートに手を突っ込んで
白い息を吐くような
冷たい冷たい心の中
君とは仲良くなれないが
恐らく君は私だ
悲しくなるこの気持ちすら
分かち合えるような冷たさに
ひとりぼっちの寂しさすら
体現した静けさに
ここは現か幻か
色のない世界は惑わせる
このままこの景色に浸かっていれば
すべて忘れてしまいそうだ
ただ、どうか
時間が止まればいいのに
そう願う自分がいる
H30.2.23.Fri