| 詩人:理恵 | [投票][編集] | 
目の前はらりと木の葉が落ちた
この感覚はなんだろな
胸にぽつんと生まれた
しこりのような違和を感じる
鞄から小説を取り出して
読みながら歩く並木道
笑いながら真っ赤な色をした
ランドセルに追い抜かれてく
この感覚はなんだろな
僕はあの子を知っている
初めて見たあの子を知っている
あの無邪気な笑顔を知っている
また小説に目を落とし
並木道を進んでく
視界の端が眩しくて
顔を上げたらきらめく川面
ふわりと黒髪が揺れた
この感覚はなんだろな
今揺れたのは誰の黒髪
パタリと足元で音がした
手の中に小説はない
閉じたページを開こうと
伸ばした手に重なった
白くて細い真珠の手
この感覚はなんだろな
拾い上げて前を見た
目に映らない季節がよぎる
この感覚はなんだろな
とても大切な何かを
忘れてる気がする
H30.2.23.Fri
| 詩人:EASY | [投票][編集] | 
希望という観念が
絶望という観念が
それ達を支配する
私という観念が
あなたという観念が
それ達を支配する
真っ黒な煙を
吸わんとばかりに
それ達は
咳ごんで見せるが
それも、また
吸える空気がないことの
表現にしか、ならない
しかしながら、それ達は
毎日沈んでくれる
夕日のように
美しいものでもある
| 詩人:EASY | [投票][編集] | 
夢でよかった
何度そう思っただろうか?
まだ幼かった頃の記憶には
母親の温もりを
誰もがその様に
感じるのではないのだろうか?
夢でよかった
それがたとえ
どんなに悪夢であったとしても
僕たちは安堵した
夢でよかった
そんな風に
夢の中で思うことも
希にある
そんな時でも、僕たちは
夢のことを忘れてしまう
そのことを
何となく曖昧に
誰かに話してみたりする
そんな時、僕たちは
ほんの少し淋しげに
ほんの少し不思議げに
ほんの少し温かく
これも夢だと思いだす
幼かった頃の母親の
温もりの様に
| 詩人:ひトも | [投票][編集] | 
その不可逆さはずるいと思う。
底に沈めた錆びた錨も、
底に沈んだ宝の箱も、
手が届かないと諦めたのに、
そのにおいがした途端、
泡みたいに浮かび上がって、
否が応でも思い出す。
水面で儚くそれは割れ、
再び沈んでゆく様を、
なすすべも無く眺めて終わる。
その一方的な不可逆性は,
どこかそうだ。夢にも似てる。
その不可逆さはずるいと思う。
底に沈めた錆びた錨も、
底に沈んだ宝の箱も、
息が続かず届かぬ日々も、
そのにおいがした途端、
足掻く私をからかうように、
否が応でも思い出す。
水面でゆっくりそれは割れ、
どこかに霞んでゆく様に、
手を伸ばしては届かず終わる。
その一方的な不可逆性は,
どこか、そうだ。あなたに似てる。
| 詩人:理恵 | [投票][編集] | 
暗い吹雪の向こうから
列車の明かりが近づいてくる
どこの雪国の景色だろうと苦笑して
開いた車両に乗り込んだ
窓は曇ったまま 街の灯りを曖昧にして
それでも降り続く雪は目に映る
髪から白い雫が落ち
ひやりと手の上を濡らしてく
さっきの苦笑が嘘のようだ
急に親しみを覚えてしまった
その冷たさに
その容赦のなさに
この窓の向こうは
私の心だ
十個の駅を通りすぎ
降り立ったホームには
サクリと足跡が記されていく
ああ、私の心だ
コートに手を突っ込んで
白い息を吐くような
冷たい冷たい心の中
君とは仲良くなれないが
恐らく君は私だ
悲しくなるこの気持ちすら
分かち合えるような冷たさに
ひとりぼっちの寂しさすら
体現した静けさに
ここは現か幻か
色のない世界は惑わせる
このままこの景色に浸かっていれば
すべて忘れてしまいそうだ
ただ、どうか
時間が止まればいいのに
そう願う自分がいる
H30.2.23.Fri
| 詩人:理恵 | [投票][編集] | 
破れた風船を繋ぎ合わせて
息を吹き込むような
そんな感じ
風船なら取り替えればいい
生き物ならどうすればいい?
引き裂く勇気はないから
ただただ息を吹き込み続けてる
H30.2.21
| 詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] | 
・
あなたをあいしただれよりも
わたしのおもいはつよかった
わすれないでねぇ
わすれないからぁ
たねになって
かぜにのって
とんでいきたい
はるをよぶからぁぁ
はるになるからぁぁぁ
うたになって
かぜにのって
あなたにとどけっ
──────────
| 詩人:EASY | [投票][編集] | 
感覚の取りかえっこ
僕たちは良い意味で
子供のまま
共感する為なら
大抵のことは惜しまない
僕の見える赤色を
君の見える赤色に
被せてみせる
求めなければ手に入るような
そんな崇高なもの
僕たちはいらない
求めても手に入らないものを
僕たちは求める
求めているのに
最後まで残る
ミックスナッツのアーモンドみたいだ
| 詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] | 
ぼくらは毎日死んでいる
睡眠イコール自死との仮説
先生の意見が正しいならば
前述のとおり
眠らないのは
明日よりも死を拒んでいるのか
起きたくないのは
どこにも行きたくないんじゃなくて
逝きたくないんじゃないか
だったら先生
あの子だって
必ずしも死にたいというわけじゃないのかも
かもしれない論は
何でも比喩にしちゃう論と同じく
本心を嘘偽りなく
混じり気なく
話しているわけじゃない
のに
そうかもしれないと思わせる技術
流石です先生
眠れないと言っても
眠るんでしょうあなた
でないと死ぬ
翌朝
蘇ると
昨日さっさと
死ななかったことを後悔し
きっと
今もどこかで生きている
先生
先生
永い眠りにつかないで
良い顔しないで
はやく起きてよ
ねえ先生
誰だって
眠りにつくのなら
純度百パーセントで
生きたい人もいない
私もそろそろ