詩人:理恵 | [投票][編集] |
帰ってきてから気づいたの
もう、あなたはいないんだって
おいしい料理
作ろうと思って材料も買ってきたのに
疲れるよ……それでも
あなたに会いに
もう一度、この部屋を出ていくの
買いにいってきます
サラダ油
H29.2.19
詩人:たかし ふゆ | [投票][編集] |
モーニングペーパーを開きながら
ラウンジに揺蕩う
コロンビアの苦い香りが鼻をつつくのを感じている
海の向こうでは亡国者が暗殺され
直ぐ近くでは吉祥寺が自由が丘に迫られ
目の前では、冬が眼をこすりながら横たわっている
気配はいつもゆっくりと浸透する
たとえば
鳥の鳴き声のトーンだとか
ゲストハウスに集う外国人旅行者だとか
ただ
いまだ姿も輪郭もハッキリと見えない
世界が塗り変わっていく時は
香りだけがする
満員電車の車窓
17才
ユウコさんの前髪
揺れ、少しずつ変容するものを
指先の感触だけで感じている
詩人:綾 | [投票][編集] |
星が見えない街で
眠らない夜に安堵しながらも
寂しさを抱えてる
光はそこら中に溢れてるのに
探してるものは見つからなくて
白と黒の交差点で溺れないように
恋のようなものに掴まって
ぬるい川を泳いだ
帰る場所が欲しいわけじゃない
たったひとつのものが欲しいの
失って乾いた分は
好きな音を注いで満たしていく
闘う勇気が逃げないように
マスカラを塗り直して
痛い靴を履きながら
もう一度笑ってみせるの
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
神様が私を生かした
ううん、そうじゃないんだよ
私が生きなくてはならない世界を
私が死なずに生きてるだけ
あなたがいて嬉しい
その命も同じなんだ
夕暮れに春は生まれた
すべて輝いて見えるよ
雨粒も汚れきった歩道も
悪人の心でさえ
夕暮れに私は歩いた
とても騒がしい世界を
あなたが生きるためにある世界を
死なずに生きている
そんな命を
雪の下に見つけたよ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
春の匂いがする
わたしはどこ
雪の下にいたよ
とても冷たいんだ
でもね
いつか溶けていく
そうあってくれたらいいのに
死にたくないな
あなたを愛していないうちは
死にたくないな
僕は生きるように仕組まれたんだ
死にたくないな
あなたが愛していないうちは
死にたくないな
神様はどうあがいても僕を生かすんだ
死にたくないな
あなたには
死にたくないな
僕の心だけ持っていってよ
あとは全部置いていくよ
あなたに
詩人:EASY | [投票][編集] |
神に意思はない
僕たちに意思があるだけだ
今、ここにあるものが
そのすべてであり
在るがままに完璧だ
神は在るがまましか創らない
つまり
完璧しか創らない
こんな悲劇が完璧?
その悲劇は
君が作ったストーリーだ
その喜劇さえ
君が作ったストーリー
空っぽな訳じゃないさ
すべてが詰まっているのさ
踊りは好き?
歌は好き?
深刻なものなど
ひとつもない
今はただ
君の作ったストーリーに
酔いしれる時なんだ
ただ
気付きながら
意識の一番後ろで
いつも気付いていながら
この踊りを
この歌を
その自分を
演じていればいい
ストーリーはいつかは
終わるのだから
それは
一つの本を読み終えて
日常に戻るかの様に
夢を見て
その名残を残したまま
迎える朝の様に
詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
お前はピンチの王様か
ピンチの
それも手遅れ級のピンチをいつも抱えてくる
ああ
俺に似たんだ
にしても
にしてもだ
結構 凌いでこれたな これまで
本当に逃げ出したくなるほどの事
何度かは家も仕事も投げ出してしまう事も考えた
でも
乗り越えてきたな
乗り越えてこれたな
愚直で何処にも頼れるあての無い
俺たちだから
傷つけるより傷つく方しか選べない
俺たちだから
ピンチのピンチも
今 目の前にあるこの最大級のピンチも
大丈夫
俺に任せろ
お前の為なら
この馬鹿息子よ
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
もしかしたら
ぼく以外
全員ロボットなんじゃないかって
そんなこと言ったら
きみだけがロボットかもしれないし
きみもぼくも含めて
全員ロボットなんじゃないかって
それくらい考えてもキリがない位
不毛な進化の過程
後ろから来たのは
猿だったけれど
前を歩くのは人なのか
それとも
別の生きものか
考えたって仕方がないけれど
恋や愛を経て
それでも
ぼくの隣を歩くきみへの
この想いは何だろう
あと百年も生きられはしないのに
この気持ちも不毛だろうか
あんなに目新しかったもの
世間に注目され
誰もが使っていたものも
サービスが終了し
誰もが使わなくなり
新しく新しいものが出て
忘れ去られてゆくような
原始時代
江戸時代と変わらず
今の時代も今は昔に
わたしもきみも新しくはなれない
いつかは過去の産物に
それでも
何気ない日々の何気ない笑顔が
不毛だなんてそんなこと
それは違うと
真っ向から否定は出来ないが
けれど
それでも
理由はつけずに笑い合いたい
これからも
何の意味もなく
何ひとつ得られることのない未知を
きみと一緒に歩いていきたい
誰がロボットで
誰がロボットじゃないとか
っていうか
全員人間でしょう
そうでしょうねえとか
不毛な談笑を延々
あと数十年くらいはね
詩人:猫のあし | [投票][編集] |
この苦しみも糧にして
もっと強くなって
優しさも取り戻せたとき
心から素敵だと思える人に
出会えたら良いな
その人の幸せを
ずっと願って
その人の笑顔を
近くで見ていられたら
そんな幸せなことはない
今は
そんな人もいないし
強くもなれないけど