詩人:どるとる | [投票][編集] |
ポケットに空いた穴から覗いた空を
イメージの絵の具できれいに染めて
写真のような風景を描き出す
指先で広げるアンダーグラウンド
駅前通りの 喧騒もまたいいけれど
何もない 田畑を走る電車から見る景色もまたいい
名前のない 感情がフラフープの軌道を描いて
波紋のように 扇状に広がっては縮こまる。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
曖昧だった世界の縮尺は
いつかうやむやになって
流れ星の軌道に乗って
振り子運動みたいに 絶えず繰り返すループの上を歩く
どこにも行かないで と握りしめた
手の温度だけで 悲しみなんか 飛び越えて
また 朝にたどり着ける
夜明けの街に 落ちた目映いばかりの光
まるで それは 卵を割り落とすような
かき混ぜて マーブル模様 ほらもう
何が正しいのかさえわからなくなったよ
だから、最初からやり直しだ今日も
延長線上に 浮かぶ仮説
筋道を立ててさあ計算しよう
口笛の矛先へと消えるくらいなら
ありふれた毎日の何気ない風景を染める色になりたい
モルタルの廊下と埃舞う教室の 対比
給水タンクと 校庭のデイドリーム
手と手を 合わせ祈るなら ひび割れた
隙間から光を射して隠れた朝を呼ぶよ
踏み込むアクセルは景色に線を走らせて
今までの概念を軽く笑い飛ばすほどだ
最初から中身の知れた卵に過ぎない
黄身と白身を より分けて
正しさと間違いを分別するように
差別したなら 黒と白でもない
黄色い僕らは 行き場なんかない
世界から のけ者にされたまま
いつまでも 羨ましそうに 殻の外からイメージで眺めてる
夜明けの街に 落ちた目映いばかりの光
まるで それは 卵を割り落とすような
かき混ぜて マーブル模様 ほらもう
何が正しいのかさえわからなくなったよ
だから、最初からやり直しだ今日も
開ける前から同じ朝でも 目覚めるたびに昨日より少しだけ新しい世界
まっさらなシャツに腕を通す気持ち。
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
天変地異の雑音を聞きながら
歩く雲の上が果てしなく遠い
こんなにも遅かったのかと
わが足を呪ったりもした
私は青空を見ることに飽きて
さらに向こうの星を見た
当然誰もいないその星を
静かだと思い込んで
光を失った脳を
心へと下げてきたけれど
彼は無機質だった
それが悲しいと思うことを
不思議なことに忘れていたんだ
世界のどこかで
手を持つ人がいる
温度など感じないほど
祈っているんだ
世界のどこかで
幸せを生んだ人がいる
心まで空気に混ざって
祈っているんだ
この星は重たいんだって
ようやく私は知ることができた
誰もいないこの星で
詩人:どるとる | [投票][編集] |
追いかけるように景色を描いてく
太陽光 空 雲 椅子や机までも 被写体
木目といくつかの傷跡
見えないものも見えるものも描いてく
そこに君がいて たとえば光を放つなら
笑ってる君のその隣に泣いてる君を
据え置いて 君に言うよ本当のことすべてを
目をそらせない悪意までも 見ようとするこの心は目をそらせない
すべての美しいものから 禍々しいものまで
詳細にスケッチしてしまうんだよ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
波紋のように広がる街に
今日もまた退屈がのさばって
あくびばかりしているうちに
いろんなものを失って
覚悟のないままに 夜は明けて
この憎しみは 向ける先なく漂って
さまよう刃の 二の舞
ただ まっすぐに 突き刺すように落ちる水
ただの悲しみは涙と名付けられて
辞書のな行に 住まう言霊。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
若すぎたために負った傷跡は
柔らかな肌を貫いてそこから朝を覗く
屋上の退屈と 軒下の暗闇は似ている
かび臭い水のみ場に小さな虹を描く夏
片手間で始めたギター
GとCのコード違いもわからない
いつか 読んだ 夢中で読んだ
小説の続きのような明日が
見えるといいな
いたずらな風にスカートが揺れて
ハイ・ファイ・セットを聴く午後に
青い春が 見え隠れ
僕らはきっと
誰だって 幸せな時代に生まれたんだよ
僕らはきっと
生まれた時代が 一番幸せな時代なんだよ。
詩人:里雨夜 | [投票][編集] |
滝のようにかいた汗
冬でも怯まずに出ていけた体育館
床を蹴るシューズの音
手をうつボールの衝撃
お腹や肺があげる悲鳴
歓喜と落胆のラリー
何でもうまく行くような感覚も
何もうまく行かない苦悩も味わった
二度とこんな思いしたくないと思うほどの苦しみも
今となれば愛しくて
時間が経って分かったことは
どれだけ好きだったかということ
詩人:ヨワムシ | [投票][編集] |
寒い冬が終わり
暖かな春が来る
暑い夏は待ってて
涼やかな秋は眠ってる
春夏秋冬
何度目だろう
気付かずに過ごしてきた
あと何度だろう
気付かずに生きていくのは
ふと止まった季節の中
風を感じた瞬間
私は命を感じる
またいつか
この風を感じ
季節を数えてたら
僕はそっと笑いたい
詩人:どるとる | [投票][編集] |
目を閉じた闇のその中の 宇宙で
手のひらの上の畑を耕して
言葉の種を植える
きれいな花が 咲く
その日を 待っている
黄金の歌声に 波は静かに応えるだろう
雨宿りする生活なら
雨に濡れて笑うほうがいい。