詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
今朝 通りに咲く椿の花の落ちるのを見た
花房が地に落ちる音は聞こえない距離
しかし
聞こえた
重いようで
軽いような
残酷なようで
荘厳な
同時に
時が流れ込んでくる
意識の中に
記憶や妄想の中で一瞬のうちに
椿が芽吹き
葉を茂らせ
蕾をつけ
咲かせ
散った
タイムラプスのような
サイレントのような
音がずっと鳴っていた
詩人:もとり | [投票][編集] |
冗談 なんて一番卑怯
受け取り手への誘導と
それに対する感情への拒絶と
嘲りを含んだ嘲笑と
それで済まそうとする魂胆が
透けて見えて嫌になる
本当 冗談じゃないわ
詩人:もとり | [投票][編集] |
落ち込んでいい
泣きたいなら思いっきり泣け
つらいなら声に出せ
一生続く苦しみなんてそうはない
一過性の悲しみだ
だから内側に膨らむ感情を
思いっきり外へ吐き出せばいい
ただし目を背けるな
周りを見て
耳を傾けろ
救いの手を払い除けるな
一人になる事はない
そして一人になれる事もない
傍にちゃんと人はいる
お前は一人ぼっちじゃないのだから
詩人:もとり | [投票][編集] |
思えば物心が着く前から
一緒にいた気がする
何処に行くにも一緒で
お互い譲れない喧嘩をして
理解を深めて仲直りして
当たり前のこの日常が
ずっと続くと思っていた
でもあの人を見る君は
とても綺麗で
知らない女性の横顔だった
少し寂しくも
君の魅力を知ってもらえるのも
誇らしく嬉しくて
結婚おめでとう
素直に言えたかな
本当はずっと
大好きだったよ
上手く言えない言葉は
花束に託して
詩人:通りすがる | [投票][編集] |
人は数を使って話す。
人もまた数を使って聴く。
人は数をもって陥れる。
人もまた数を使って受ける。
人は数をもってつくる。
人はまた数を使ってみる。
そして数が作られていく。
詩人:通りすがる | [投票][編集] |
目の前にあるものが
何でできているのだろうかと
考えている。
目の前のものが
何ができるのだろうかと
考えている。
目の前のものが
何でなのだろうかと
考えている。
目の前のものが
何がケせるのかと
考えていた。
詩人:通りすがる | [投票][編集] |
にんげんかもしれない
人間かもしれない
ヒトであることはたしかだ
でもそれは
人間やにんげんであるとは言えない
男なのだろうか
女なのだろうか
オスであることはたしかだ
でもそれは
男や女とは言えない
それを誰にも言えない。
詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
並列した文字に押し潰されて 私は海を漕ぐ
浮かぶ月 あれは夜の塗り忘れ
はたまた あれはピンホール
あの穴の向こうには
きっと小舟が一艘 波間に止まっていて
それが今 私として 焼き付けられているのかもしれない
上も 下も 白いも 黒いも
なにもかもが反転した世界で
誰かが今 生きているのかもしれない
その人は 何を思って私を撮影しているのだろう
きっと やはり
何かに押し潰されて ふらり 思い立ったのだろう
詩人:アルバトロス | [投票][編集] |
君の寂しさを埋める役を演じてみたよ
君のぽっかり空いた穴をふさぐ
絆創膏のような そんな役を
ちゃんと演じられていたかな
やっぱり今回も自信がないや
だから報酬はいらないよ
今日はゆっくりお風呂に入ろう
化粧を落として
どこまでが化粧なのか
もうわからなくなったけれど
その繰り返しが人生なのだよ
と、他人事のように言ってみる
部屋の隅には脱け殻の自分が、ひとつ
しわくちゃになって、ひとつ
安心して
それは私じゃないから
と、他人事のように言ってみる
私の傷をふさぐ役は
誰が演じてくれるのだろう
そうだ
傷は脱け殻にあって
私にはないのだった