詩人:理恵 | [投票][編集] |
その昔
私にあいしてるをくれたのは、
知らない人でした
その人のあいしてるを理解している自信は、
ありません
辞書に載っている愛してるは、わかります
でも、時々思い出すその人のあいしてるは
知らない言葉のように響くのです
だから私は今日もしたためるのです
宛先のない 思いをここに
2020.10.7.
詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
川面に昼の星が千と輝く
対岸に踊る緑は濃く
その向こうの涼しげな薄闇が好奇心を駆り立てる
灰色の礫が滑らかに微笑み
何事もないよと時が過ぎ往く
一枚の写真のような
その景色
子は静かに溺れている
詩人:ノリ | [投票][編集] |
星空が飴になった夜
見えない世界に吹いた風
このまま溶けてしまいたい僕も
溶かしきらない生ぬるい季節
あの瞬きすらも嘘かと
さざめく波に聞いた夏は
白い綿あめがシュワっと消えて
ほうき星みたいに通り過ぎた
飴クズの星は甘いまま
懐かしくなる景色のまま
そよぐ風だけが季節の便りで
死にたがりの僕に
しつこく訪れる飽きた明日だけが
たしかな世界はもう消えて欲しくて
閉じ込めた星空だけで
僕の世界は十分だ
このまま溶けてしまいたい僕の
甘い飴玉の夢
また夜空が薄明るくなっていく
詩人:ノリ | [投票][編集] |
夏の大三角
指差して笑い合ったね
潮風に飛ばされないでと
抱き寄せた君の背中は
切なくて哀しくて
涙色の海が奏でる
波音が僕らの時間を
飲み込んでゆく
愛なんて滑稽だな
流れ星に訴えるけど
遠い夜空に消えていくんだ
僕の手を握り締め
キスをせがむ君の心は
塩っ辛くて苦手だ
愛の言葉も
時には無情だな
この夜空には叶わない
朝まで待って
もう一度伝えよう
振り向いて 今君を
連れて行くよ 未来へ
夏の終わりと始まりの話
詩人:理恵 | [投票][編集] |
「お互いに笑って過ごそうね」
って言われたら
「あなたが笑っていることが私はいちばん嬉しいよ」
って返すの
だってね、あなたは知らないと思うけど
私、今までたくさん迷惑かけて
たくさんの人の笑顔を奪ってきた
だから、私は
私の笑顔を願えないの
でも
誰かの笑顔なら願えるし
そう言えば
きっとあなたは納得するから
だから
そっと本音はしまっておくの
2020.9.28
詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
ふ
と 思いついて 福毛を探した
んな 簡単には見つからないし
生えてるわけじゃなし
あの頃
君がいたあの頃
裸になった時に 福毛探しあったっけ
見つけると 君は
「幸せになれるよ!」
別れて20年経ったよ
幸せになれたかい?
君が置いていった息子も23歳
息子はねじれて曲がって孤独だよ
福毛
なんだろうね
でも
生きていける それだけで
幸せなのかな
福毛
もう少し探してみよう
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
明後日からしたら
今日は
良かった
巻き舌みたいな
喋り口で
腕っぷしも
そこそこ
昨日からしたら
明後日は
辛くて
ラジオの
周波数を
回しても回しても回しても
何がなんだか
今日からしたら
なにもかもが
しょうがないから
空を
見上げるしかない
それでも
真っ青な空って
やっぱり
いいよ
いいよ
詩人:理恵 | [投票][編集] |
野火 -大岡昇平『野火』より-
ゆらめく火が煙を立て
僕の歩く方を示す
この鼓動が止まればいいのに
願う先は怖くなかった
それなのに一人で生きる道を選んだ
英雄になる前に人間だったんだ
あぁ 山を駆ける風よ
火種はいつ消えるのだろう
交わることのない心は
どこをさまよいゆくのだろう
泥の中を進んだ手が
銃の引き金を引く
罪もなき命が消え
言い訳だけがここに残った
十字架のその下重なった屍を
もう一つ増やした 僕のこの手で
あぁ 空を渡る鳥よ
そこから火は見えるだろうか
水の底へと投げ捨てた
衝動は重みを感じていた
かつて神を信じていた僕が
僕を責め立てる
白い旗を上げても
生きたいと願う
その足下にいるのは誰だ?
あぁ 目の前に横たわる
命に手を合わせている
もう煙を頼らずとも
行こう 微笑む彼らの元へ
2020.9.18.
詩人:自己満足3 | [投票][編集] |
明日を生きたくて、今日、亡くなった方に分けてあげたい
オレは、今日逝くことにしました。
馬鹿かと罵られてもいい
浮遊して、風になればいい