詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
ふ
と 思いついて 福毛を探した
んな 簡単には見つからないし
生えてるわけじゃなし
あの頃
君がいたあの頃
裸になった時に 福毛探しあったっけ
見つけると 君は
「幸せになれるよ!」
別れて20年経ったよ
幸せになれたかい?
君が置いていった息子も23歳
息子はねじれて曲がって孤独だよ
福毛
なんだろうね
でも
生きていける それだけで
幸せなのかな
福毛
もう少し探してみよう
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
明後日からしたら
今日は
良かった
巻き舌みたいな
喋り口で
腕っぷしも
そこそこ
昨日からしたら
明後日は
辛くて
ラジオの
周波数を
回しても回しても回しても
何がなんだか
今日からしたら
なにもかもが
しょうがないから
空を
見上げるしかない
それでも
真っ青な空って
やっぱり
いいよ
いいよ
詩人:理恵 | [投票][編集] |
野火 -大岡昇平『野火』より-
ゆらめく火が煙を立て
僕の歩く方を示す
この鼓動が止まればいいのに
願う先は怖くなかった
それなのに一人で生きる道を選んだ
英雄になる前に人間だったんだ
あぁ 山を駆ける風よ
火種はいつ消えるのだろう
交わることのない心は
どこをさまよいゆくのだろう
泥の中を進んだ手が
銃の引き金を引く
罪もなき命が消え
言い訳だけがここに残った
十字架のその下重なった屍を
もう一つ増やした 僕のこの手で
あぁ 空を渡る鳥よ
そこから火は見えるだろうか
水の底へと投げ捨てた
衝動は重みを感じていた
かつて神を信じていた僕が
僕を責め立てる
白い旗を上げても
生きたいと願う
その足下にいるのは誰だ?
あぁ 目の前に横たわる
命に手を合わせている
もう煙を頼らずとも
行こう 微笑む彼らの元へ
2020.9.18.
詩人:自己満足3 | [投票][編集] |
明日を生きたくて、今日、亡くなった方に分けてあげたい
オレは、今日逝くことにしました。
馬鹿かと罵られてもいい
浮遊して、風になればいい
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
壊れた
オルゴールの
音色
苺か
梨
リズムが
微妙に
誰の正しいとも
違う
そんな正しさと
疎遠で
ありながら
より
誰の
清らかさに
でも
親しく
あろうと
するように
ずれていく
割れてしまった
木琴の音色のような
夕日に
置いてきぼりにされた
桃黄金色した
雲のように
書き手に
ペンを投げられた
まだ途中の
詩のように
ただただ
こうして
誰かに
寄り添いたがって
分からせたくて
互い違いでもいい
何にも無いのに
コーヒーの香りがする
新たな位置づけ
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
(注意
残忍、残酷な表現のある作品です。
グロテスク、残虐行為の伴う文章に反感や抵抗、不安感を残した経験、予感のある方は絶対に読む事をお控え下さい。
注意事項として警告致しましたので
本作の表現への誹謗中傷は一切、受け付けません。
宜しくお願いいたします。
念の為ですが、内容はフィクションです。)
子犬がいる
可愛いい子犬だ
でも飼う事ができない
飼い主も散々探したが
どうにもならなかった
今は無き祖母は
猫を飼っていたが
雌の猫で
野良猫との子がよく産まれて
そんな時
祖母は
ビニール袋に仔猫達を入れると
袋の口を縛り
あろうことか
近くの防波堤から
海へ投げ捨てていた
悪魔だと思った
でも俺も
小学生の頃
ハムスターを飼った事がある
何の知識も無かったから
向日葵の種の代わりに
スイカの種を与えていたら
程なく餓死させて
しまっていた
生き物を飼うのに
無責任さは許されない
子犬は
俺が死なせてやらなければ
と考えて
袋に入れて
袋の口を縛り
ただ
そのまま海にでは
もがき苦しみながら死なせるのでは
あまりにかわいそうなので
袋に入れたままで
頭を掴み、素早く首をねじり殺す事にした
釣りをするから
魚を締める事は普通に出来た
それでも
初めての頃は
抵抗があった
そうして
子犬を
袋に入れたまま
左足の膝で
小さなからだを
殺すつもりで全体重で押さえつけ
両手で頭の部分を
力一杯ねじ回した
一瞬で終わらせてやるのが
優しさだと
信じて
動かなくなった
子犬の亡骸は
燃えるゴミで
処分した
ところが
数日して
近所て
瀕死の子犬が
ゴミ捨て場で
見つかったと
聞かされた
死んでは
いなかったのか
それどころか
さらに、もうしばらくして
ある日曜の朝
近くのスーパーへ
買い物へ歩く途中
明らかに
不自然な足取りの
犬を連れた人が
こちらへ向かい
歩いて来た
すれ違いざま
よくよく犬の
顔を見た
あの子犬なのか
一瞬だったが
俺の目を
見つめ返した
その瞳に
吸い込まれるような
思いがした
詩人:EASY | [投票][編集] |
異常なくらい鼻の高い
そんな、お前の特徴は
ニュースを観ないことである
曖昧な表現で、明確さを司り
蝶々が飛んでいそうな花を
野原に咲かせる仕事をしてる
夏の水辺で伸びすぎた
草の様なその草は
結局草であることに
全く動じることがない
真っ暗闇の空間で
顔にかかった蜘蛛の巣を
気にする様に鼻触る
愛おしい存在に
人間という名をつけた
詩人:カクレクマノミ | [投票][編集] |
暗闇の先に光ったのはただのコケ
既に光ることを忘れた人を見透かす
貴方は透明ですか
もうなんかゴチャゴチャしてるね
どうか光を絶やさぬように
前に進んだのは意思だろうか
すんでのところで思いとどまって知る
何かに操られていたかのように愚かさを
回想連ねて苦しみを知る
幾重に祈る銀河の凪を
銀河を超えたら何を見る
どうせと白けたぼくにゃ見れない光
あの子もその子も石ころと
変わぬような意思持たぬ五月蠅い口
もう一歩踏み出せば先があると
思った一歩も繰り返し
飯を食った後味は大概忘れて上がる日
すがる弱さをどう見れば
欺く滑稽な海の中で
希望はここにあったといふ
誰かがずっとここにあったといふ
どうだろうか、ここでいいのだろうか
同じような問答を君にも問う
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
夕闇の
岬の尖端が
車窓の左はしの方から
見えてくる
もう
恋に陥ることはない
助手席から
君が水平線へと
手を伸ばし
連れ立って
今でも
たゆみないスピードで
記憶をかけぬけ
繰り返し
僕を
振り返るとしても
もう
恋に陥ることはない
あの水平線と
手を繋ぎたくて
アクセルを踏み
更にスピードを上げ
どこまでもどこまでも
どこまでへでも
たどっても
やっと僅かな日差しに
なりきって
滞りなく
澄み渡るしか
ないように
もう
恋に陥ることはない
もっと静かに
誰よりも
かけがえもなく
鮮やかに
密やかに
見惚れる
程に
もう
恋に陥ることはない
詩人:たかし ふゆ | [投票][編集] |
涼やかな静けさの行進、夏の終わりはいつもこう
秋の始まりの雨は夏の終わりの雨と同じで、不思議な間のある雨
さめざめ、という言葉があるように
蝉も鳴かない
自分と誰か、雨と晴れ、季節と季節、そういう緩やかな「間」
叩きつける情熱ではなく、ゆっくり身体に浸透する労りのごとく
優しい雨が降っていて、それが上がりそうな天気。空気の振動、一縷の陽射し、濡れ上がりのアスファルトのにおい
何とも言えない感情を詩にしたら、きっと、誰かの事を労れる気がする