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[100328] シャルトリューズ
詩人:松尾 優月 [投票][編集]

  燈籠影絵に語るあたしには、咲かない蕾で、生まれた。
  夜露は蒼玉月。照らす。離れ、離れ並木。
  萌芽だからこそ摘まみたい。それまでの枝先。
  潤んだ紅水晶。
  後悔はしたくないから、剥離からの一枝が震え、
  抱きしめる度に舞い散る。

  ひら。ひら、ひとりてのひら。
  
  枯れ落ちない為の、花瓶。は、あなたを覚えています。
    (水瓶座かしら、重なり合う桜は、
     あるのだけれど、繋ぐ星座線。
     ひとりでは、自らを抱きしめる行動で、
     さらに、散らすでしょう)
  朝焼けのない、まぶた。に花びら、桜霞。
  燈籠。は、消えていくままに、


  てのなるほうへ。ねえ、てのなるほうへ。
  さきかさなりあう、むこう、がわ。
  かこ。は、みえないとは、いわない。


  慕う蕾は聞こえているかい。
  あたしの帰路に龍路地からの、桜清水流れ、神社。
  うねる、夢眠る枝垂れ。桜の髪飾りが、ひとひら。
  波紋を聴かせる。遠浅の海鳴りのような、
  素振りしか。今は、出来ません。

  枝垂れ桜は泪を浮かべ、しばらく朝陽を見送り、
  白い。と、湿る風の音。
  下る方向は波の、あがった場所から、
  身体という入れ物から、
  くだり、くだり。
  ぷらう、ぷらう。
  陽光を移し替えている。見上げ、高い場所で、
  吹きのばした香り。
  
  空が光って青いとき、この桜と、この桜。
  ぱしゃ、ぱしゃ。
  今年のおしまい。は、どちらが先かしら。

  あんまりにも、あおく、ひかって、うるんで、
  さくら、透かすから。両手で、掬って、
  あたしの入れ物に、ひとゆびずつ、一滴ずつ。
  溢れ出すぎりぎりかな?の、笑み軽く、桜。
  浮かべたなら蓋をして。
  
  未だ咲かない蕾と見つめ合う。今日も桜清水の前髪は。うつむいたまま。
  
  慕う蕾は聞こえているかい。あたしの帰路に龍路地からの、
  桜清水流れ、神社。うねる、夢眠る枝垂れ。
  桜の髪飾りが、ひとひら。波紋を聴かせる。
  遠浅の海鳴りのような、素振りしか。
  今は、出来ません。

  枝垂れ桜遠く、離れ並木。巡り刻む、桜月夜。
  

2007/04/16

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