ふと、前を見ると、桜が咲いていた。一本だけ、川のそばに咲いていた。近くに桜はないみたい。緑の草木が並ぶだけ。その桜は、普通の桜より大きめで、その木の下まで歩いてみた。そこから見上げると、青い空が隙間から見えた。鳥のさえずり、川のせせらぎ。心がスッとして、とても温かく感じた。他の桜と離れ、その桜は一人で寂しくないのか。ずっと一人で暇じゃないのか。そんなことはないと言わんばかりに、優美にたたずんでいた。そんな桜が、自分より立派に見えた。
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