詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
夕方頃の涼しい風に吹かれながら
いつも通りに暮れていく今日を見送った
夕陽の色に染まる空をなんとなく眺めていた
終わりがだんだんと僕に寄りかかってきて
倒れ込んでしまういつかは誰もが同じように
だからその前に君に言わなくちゃいけないことがひとつある
下り坂をバスが下ってきて
止まったバスの中からたくさんの人が疲れた顔で汗を拭いながら
それぞれの居場所へと帰っていくね
想えばさ人生って長い坂道みたいだ
下る坂もあれば
上る坂もあって
時には砂利道や急な上り坂もある
楽な道なんてひとつもないことに
今さら気づいて少し切ないような気持ちになって
明日もこんなふうに日々が何気なくやってくることに素直に喜んでいいのか悲しむべきか
複雑な心で僕は気づけばこんなところまで結局は来てしまった
朝が来て夜になって
その間僕は死に物狂いで働いて
汗しながらもまた少しして汗がひけば笑ってる
何一つ変わらない生活の中で
ガマンして置いてきたもの
なくしてしまった宝物の在処
戻らないものがあまりにも多すぎて
そのどれもがなぜだろう僕にとてもやさしいのさ
不思議なほどに
昨日と同じバスに乗っていこう
丘を越え時さえ越えて
バス停でいつものように君が手を振るから
僕もいつものように手を振ったよ
君といられるこの時間だけは僕は哀しみを忘れることができるから
素直になれてしまえるから
だから
昨日と同じバスに乗って
何一つ変わらない僕だとしても
特別なもの求めずにいつも通りの座席を選んで
君との時を大切にしよう
僕が僕でいられる今この時もその先の今も大切にしたいんだ
いつかたどり着く終わりを素直に受け止めて