詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
残業勤めご苦労さん
朝早く満員電車に乗って行く父よ
今日も昨日と同じに残業なんだろう
生意気な口を利くこの僕を養ってるのは
ほかの誰でもないあなただろう
たまに父は早く家に帰宅して
愚痴をこぼすもなんだか弱気だった
苦労知らずの僕の目には見えないけど不安や責任をたくさん抱えきれないほど抱えているんでしょう
アー、ありがとうネ
普段は恥ずかしくて言えないけど
心の中ではいつも想っては感謝してる
アー、残業勤めご苦労さん
子供だった頃、真夜中に帰った父は冷めたご飯をチンしてひとり背中を丸めて食べてた
父もきっとみんなと同じように家族そろって食べたいって想ってるだろうな
母が作る弁当だけが父を元気づけているんだろう
ゆっくりと月が暗闇の中を泳いでいる
父も今机に向かい働きながら見ているかな
そんなこと思いながら天井に話しかける僕
そんなことなど父は知る由もなく
平凡でも普通でもひそかに尊敬されてる
頑張っている父の背中はきっとやさしくて温かいだろうな
見送る母の隣で僕も言うよ行ってらっしゃい
かすかに父は振り向いてやさしくやさしく笑うのでした。