暗がりの洞窟などとは別の 藤の花咲く清流がありましたせせらぎ鳥の声水面の 鬼ヤンマ街は灼熱地獄だというに其処には風がありました木々が揺れ 山女魚が踊るのです船頭が口ずさむこの辺りの楽謡にユラリ ゆらり 身を委ね岩壁の涼しげな闇に緋の鬼を魅たのですその光る眼(まなこ)に 背筋につたう一雫遠い昔のその昔此処には鬼が棲んでいました燃えるような緋色の眼をした鬼が棲んでおりました船頭が そう謡うのです
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