詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
「寄せては返す波のようだね」と
君は砂浜座って陽が沈んでゆく空をみた
「涙は塩辛いから瞳の中には海があるのね」とジョーダンのように君はつぶやいた
1つ1つの他愛もない場面
たやすく諦めた1日はもう返らないと
知ったときから僕は悲しい
時間の波は寄せはするけれど
一度寄せてきた波は返ってきたときにはそれはもう別の波
波が寄せてきて少しすればまたすぐに次の波が起こるように
時代は変わりゆく
人もこの街も
この波も時間の波もほんの瞬間程の美しさをみせた後ですぐに引いていく
だからこそだからこそ
人は1人1人がかけがえのない尊い存在なのです
人は1人1人が波で
もう押し寄せたらその波は永遠に帰りはしないのです
きらきらと陽に反射しながら
大きく美しく押し寄せそれぞれの生きざまを砂浜に刻み込むんだ
そして間もなくして引くときも美しくそして儚げにゆっくりと引いていく
遠く聞こえるあの人の声は返らぬ波音
浜に近づくにつれ小さくなってそしてサヨナラ
最期の力を振り絞って波は砂浜にとけていくよ
みえない思いを砂の中に託すように
きれいな貝殻をつれてきたりもする
それと同じように
人も砂浜という大きなこの世界に街に目にはみえない大きな大きな思いを残すだろう
たとえ形のないものだとしても
その人がその波が生きた証としてきっとどこかに残っているから
僕にはみえないけど
確かに寄せていった波たちはこの大きな広い世界のどこかに自分の生きた足跡を踏み残してるから
きっと…。