詩人:秋庭 朔 | [投票][編集] |
あのさ、
自分のに入れろよ?
いいじゃん、ケチっ!
そんな問題か?
歩きにきにくいんだよ
あ、なんか入ってる
カイロだよ
卑怯者め!
自分だけ暖かければ
いいの、トノは?
冷え症なんだから
ヒメ、手袋すれば?
こっちのほうが
ほんわか暖かいんだもん
…ヒメの目を見た。
トノは黙って
自分のコートの
ポケットに
手を突っ込んで
その中の
彼女の手を握った。
絡み合った指先から
毛細管現象のように
シアワセみたいのが
じんわり沁み込んでくる
トノの手冷たい
手袋いる?
いらない
やっぱ、
こっちのがいい
でしょ?
んだす!