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[120833] 雪化粧
詩人:はちざえもん [投票][編集]

黒髪の長きを撫で下ろす
心に施錠を抱きとめた


愛しき人無き日々に
雪化粧に映える一輪の赤い花
時に呼吸が止まる一瞬とは、この事を言うのだろう
瞼の裏に流れ込む色彩は 愛しきあの人の微笑み

面影の織り成す白昼夢

ただただ、手が震えた


手に触れ散りぬる 八百万、灯火を吹き消す一片の風
温もる間も無く空は崩れた

突然の風に花びらは舞い上がり
花弁の宵の如く白に映える赤が吹雪く
隣で笑うあの人は 微笑だけを残して消えた
舞い上がる風と、花びらと共に


無機質な白に絆されて 一瞬の幻想を見たのだろう
残り香を漂わすように 花は吹雪き まとった

2008/02/11

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