詩人:はちざえもん | [投票][編集] |
黒髪の長きを撫で下ろす
心に施錠を抱きとめた
愛しき人無き日々に
雪化粧に映える一輪の赤い花
時に呼吸が止まる一瞬とは、この事を言うのだろう
瞼の裏に流れ込む色彩は 愛しきあの人の微笑み
面影の織り成す白昼夢
ただただ、手が震えた
手に触れ散りぬる 八百万、灯火を吹き消す一片の風
温もる間も無く空は崩れた
突然の風に花びらは舞い上がり
花弁の宵の如く白に映える赤が吹雪く
隣で笑うあの人は 微笑だけを残して消えた
舞い上がる風と、花びらと共に
無機質な白に絆されて 一瞬の幻想を見たのだろう
残り香を漂わすように 花は吹雪き まとった