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[123063] 雨のシアター
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

どこまでも愛おしい人は少しシャイで恥ずかしがり屋
僕のあとからついてくるように最近新しくできた映画館に立ち寄った
君の好きな恋愛ものの映画がやってた
まるで嘘みたいに
ふたりのほかは2、3人しかいなかったんだ

ふたりは一番後ろの座席に座り
少し遠目で映画を観てた わけのわからない悲しみが悲しいシーンになるたび心の中を突き刺して行く
作り物なのにおかしいよね 普段はこんなに涙もろい奴じゃないのに
なぜか涙があふれて止まらないんだな
心がいたくて主人公を自分に重ねて どうしても言えないまま 同じ気持ちになっていた

隣で座る彼女も横を見ると
僕と同じように涙を流していた ポロポロと

どこまでも
誰よりも 何よりも
まもりたい

いつまでも
何を後回しにしても
一生かけて

そんな人さ
君は…
それなのに
僕は…

悲しくて涙が止まらないんじゃない
もどかしくて涙が止まらないんだ 孤独さを言い訳にして逃げているのさ 僕は最低な奴なのに君はいつでも変わらず笑顔で僕にやさしさをくれる

心の中に積もり積もっていく雨粒
積もりすぎてそれはやがて海を作った
ロマンチストだねと君は言うかなあ
こんな僕を知ったら

まるで小動物みたいに震える心が悲しくて 悲しすぎてブルーさ

恋愛映画の上映が終わって
お互いに傘を差して
小降りの雨が降る道に出る

ああ 突然にこみ上げた不思議な衝動がまるで映画みたいに傘を放り投げて 『それじゃ…』と別れを告げる言葉の何十秒間後くらいに
君の唇を奪っていたその何十秒間後の僕

君は少し面食らって驚いたように なかなか切り出せなくてなんて そんな方法しか思いつかなかった不器用な僕は不器用に笑いながら

見上げれば 空には太陽が出ていた 雨のシアターがくれた切欠が僕の心を動かしたんだ。

2008/03/17

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