詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
人の記憶なんてすぐに焦げるみたいに消えてしまうよ
だから大切な事だけずっと覚えてられたら
それだけでもう幸せな事だと思うんだよ
上質な夢に焦がれて
あこがれを空に投げた
あの日から遠く来て
僕は今も生きていて
変わらない明日を追い続けている
絶望と失望に心を焼かれてもあきらめの文字は見たくなかったんだ
夢のようなほんのひとときの幻でも
つかの間に消える時間だとしても
幼いままで大人という名前だけ抱いた
僕でも叶えたい夢が明日にちゃんとあるのさ
その権利はまだ放棄しちゃいない
放棄しちゃいない
見下ろした地面にアリが群がる
アリはみんなで冬を越してゆくのに
僕はひとりぼっちこたつもなぜか
心なしか寒かった記憶しかない
いつの間にか涙なんかこぼして
高く見えた空
見上げれば少し背が伸びて
空に近づいたかな
でもそれで届くほど空は低くはない
部屋の天井くらいの高さの空ならばよかったななんていいながら長い沈黙ののち
目を閉じ息を整える
イヤなこと全てを吐きだす
でもまた忘れても
訪れる今日が気づけばそこにある
終わらない日々の追いかけっこ
僕は時に鬼役で
僕は時に逃げ役で
今日も始まるそんな具合に人生は時間との鬼ごっこさ
いつでも勝負さ
思いまぶたを閉じれば
そこにはかならず君がいる
笑ってる顔の君がいて
僕にいつもの愛をくれるんだ
味わい深く心に通じる管を転がり
やがてたどり着くさ
心まで届いたら気づくのだろう
何度も気づくだろう
それは愛だと
それこそが愛の形だと
僕は気づいて
ふいの風に振り向けば
そこには変わらない今日の景色の中で
君が笑いいつでも同じ場所に昨日と同じぬくもりがふと僕に微笑んで
冷たくなった両手をぎゅっと温めてくれた
誰より強く尊い心の力で。