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[129120] 神の庭
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高速に乗って目指したのその場所は
年に数回訪れる避暑地であり 君が生まれた 今は誰も住んでいない家
買い込んだ食料を洗おうと蛇口を捻れば 錆び付いた赤茶色の水が流れた

寂しさは流れていく
気付かぬほどに流れていく透明になった水色を確認して 野菜を洗う僕達は
あの日に蓋をした フロンティア

雨を凌ぐくらいの庭の片隅で 笑い声が谺する
肉を焼いて野菜を焼いて
いつのまにか思いも焼いた…

レンズを向けたら寄り添って「此処に永遠がある」と答えた

夕闇が辺りを包んでも
いつまでも此処は明るかった 明るかったんだ

内の内の内側に潜む神は
いつだって何か企んで
この先に永遠なんてないこと ふっと笑っていたのかもしれない

今はセピア 鮮明なまでのセピア
確かにあったんだ 笑って肩寄せて こんな日が 来年も再来年もこの先もずっと…

悲しいくらいに望んでた
切ない程に挑んでた

流れる光
手を振る君
振り返る僕

走り寄り 立ち止まり 見つめあい 明日も会おうと…頷いた

内の内の内側に潜む神に気付かれぬように…


2008/07/14

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