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[133103] 幸せのベンチ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]

チクタク流れる時間は僕のペースに合わせては進まない
まるでちぐはぐなスピードとやたら嫌みな奴らに有利なペースで進んでる感じだ
なんだかミョウに腹が立つもんだ 週末仕事にとらわれの忙殺の檻の中で味わう苦しさのように

見上げた空には雲ばかりで こんなにも心は晴れやかなのに
すべてがそれだけで台無しになる
きっと青空が出てればもっと気持ちは晴れやかなのにな
なぜなんだ このミョウな胸騒ぎといら立ち どこまでもついて来る不安の影

その手はなんのために生えているの?
輝く夢をいつかつかむためにあるんじゃなかったのかい
自分に問いただしてもなに言ってもはじまらなくて
ただ時間だけが先を急いで僕はいつの間にか置いてけぼり
冷たくもないぬるめの雨の隙間を縫うようにただ歩く
目的もなく宛もなく何処へ行くのかわからない旅
それだけに自由は制限された区域の中でしか適用されない
旅ははかないままに終わるでしょう
また忙しい日々に引き戻されるでしょう
この無意味さのある意味を教えて
もしもこの無意味さに意味がないのならば最初からそんな言葉もなかったと思うから
それなりに存在する意味くらいはあるんでしょう?

ズタボロの羽で飛んでゆく 君は鳥みたい
自由な旅人
時間をもし操れたならよかったのに
そんな夢みたいな話をしてもはじまらないね
だけれど願うことだけはさせてくれよ
願ったところで叶うことはないが
この無意味さに鮮やかな色をひとつでも足したい
その気持ち 少しはわかってて

雨上がりの虹みたいに少し出遅れた幸せでもかまわないよ
すぐにあらわれても消えてしまう一瞬の美しさでもいい
隣り合う幸せは小さな喜びがいい

欲望にかき乱されなくてすむもの 満足できるよ 人間らしく

だから幸せのベンチに収まるくらいのちょうどいいスペースと人を。

2008/10/19

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