詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
時計はいつでも夢の中さ
僕らを夢の中から見ているんだ
三本お髭を生やしてまるでどこかの金持ちの貴族みたいにえらそうだよ
でも実際えらいんだよ
時計は僕らをずっと時間の中に閉じ込めて定められた時間を正確に僕らに告げていつもの生活に縛り付けるよ
でも感謝もしたりするよ
おじいさんになっても時計は死なないから仕事の定年もこないんだ
ずっと時計は時間の番人さ
何世代にもわたって時間をつかさどる時計は仕事をしてる
とてもえらいんだよ
そして大変なんだよ
いつも早起きだ
時計のおじさん
寝てなんかいらんない休日もない
でもイヤじゃない
疲れるわけじゃないから
時計は時計のお仕事をただ時計は時計として続け 針を回すだけ
それが時計のお仕事さ
感情もなにもないけど
やさしさもなにもありはしないけれど
なんだかとても憎らしいときもあるけど嫌いじゃない奴さ
時計のおじさん
今日もいつの間にか夜を僕に告げて
明日の朝になれば
目覚ましで僕を揺り起こすのだろう
時計のおじさん
素晴らしい
仕事をサボらない
仕事に正確だ
ただただそれだけを仕事にして金ももらってないのに時の神様のために時間を操る
時計のおじさん 聞いてくれよ
涙を流して情けない男の話を ぐちを 聞いてくれよ
なにも話してくれなくてもかまわない
無意味だっていい
時計のおじさん
話し相手になってよ
ただ聞いてくれよ
それもお仕事だと思ってうなずいて
その悲しいようなすてきなベルの音で僕を励まして 背中を押して 切なくさせて すべてを受け入れて
窓の外には今にも消えそうなくらいかすかに雲の隙間に隠れた月と少しのお星様
なんて切ない夜
僕の悲しみにも負けないくらい切ない夜
でもいくらかは僕の勝ちさ
なんてつぶやいてみたら少し楽になったんだ