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[141032] 箱色蝶々
詩人:零不 [投票][編集]

夢見る蝶は空を夢見る

自分は鳥ではない
人間でもない
一度死に再び産まれたら
また違う姿で

小さな手足を広げて
埃まみれの部屋を
あっちに一歩、こっちに一歩

見上げた人間は大きくて
踏み潰さないように歩いてくれる

空に幾度かの三日月が昇った頃
手のひらに乗せられた

窓辺から見た空は
桜吹雪

小さく震える羽は
小さく震える唇に押されて
静かに足を離す

真夜中飛び立つ蝶

雨ってこんな感じなの?
雪ってこんな感じなの?

舞い踊る中考えるは
二度目に産まれたあの部屋

力尽きるまで飛んで
帰るのはあの部屋

よろける足取りで手のひらに辿り着く

「ただいま」と
羽を閉じて
蝶は静かに眠る

埃まみれの部屋は
暖かかった

人間は肩を震わせていた

「ごめんね」と
呟いた雫は
羽を濡らした


蝶は冷たい冬を知らないまま
眠りについた

2009/03/12

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