詩人:CHAOS | [投票][編集] |
清楚で美人
おしとやかで優しい
私の妻…
小さなアパートに二人きり
妻は子供ができない身だと
わかった
小さな小鳥を飼い
二人で大切に育てた
階段から落ちて
妻は足の骨を折った
病院の検査で
妻は怪我の治りが
異常に遅い病だとわかった
会社から帰り
妻の世話をした
私は酒も煙草もやらない
華やかな夜の世界
自由に我が儘な人々
全てが私には無縁だった
毎日働き
帰宅すると妻がいる
足もやっと
治ろうかという時期に
今度は脳梗塞で倒れた
美しい顔は垂れ歪み
半身はほぼ動かない
這って動く妻の姿は
醜いとさえ感じた
小鳥を空へかえし
私は妻の世話をしながら
思った
妻は
幸せだろうか…
そんな毎日を
二人きりで過ごし
私は定年を迎えた
そして不自由な体で
治りの遅い妻は
また足の骨を折り
入院の日々となった
チューブだらけの体…
私に何ができようか
衰弱する妻を
ただ見守り続ける中
妻は静かに
呼吸をとめた
私は妻に
真っ白いウェディングドレスを
着せて葬儀にだした
安らかに眠っているような妻は
不思議とあの美しかった
顔立ちで微笑んでさえ
いるように見えた
まるで白雪姫だ
私は思った
妻は
幸せだろうか…
と思ったのは
妻の毎日の世話を
苦労に思う私の不服が
妻のせいに
したかったのだろう
私は
白雪姫のような
妻にそっと言った
とても幸せだったね…