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[145000] シアワセの国
詩人:千波 一也 [投票][編集]


「シアワセ」という音で

ひとの死を表す国があったとしたら

「シアワセニナリナサイ」という

祈りの言葉が怖くなる



たとえばお金を指さして

「シアワセ」と呼ぶ国があったなら

「シアワセガホシイ」という訴えの

どこまでわたしは受けとめようか



 (「シアワセ」って何だろうかね


 (わからないことが

 (「シアワセ」なんだろうかね


 (「シアワセ」であるひとも

 (「シアワセ」ではないひとも

 (生きなきゃならないことに

 (違いはなかろうがね



「シアワセ」という音で

ひとの誕生を表す国があったなら

「シアワセモノ」という肩書きは

誰のものにもなるだろう



たとえば悪事を指さして

「シアワセ」と呼ぶ国があったなら

「シアワセガニゲタ」という報告に

どこまでもわたしは喜ぼう



 (「シアワセ」の満ちる国はあるのかね


 (「シアワセ」の満ちる国は

 (理想だろうかね


 (「シアワセ」に満ちていようと

 (「シアワセ」が不足していようと

 (ひとの生きる場所に

 (違いはなかろうがね



「シアワセ」が意味するものを

忘れない国があるならば

ただそれだけでその国は

十分に幸せだろう、




わたしはそう思う


2009/06/26

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