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[145108] 孤独な傘
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


傷だらけのプライドひとつ片手に
雨の中を水たまりけって走る
僕は涙にぬれてる
しばらくぶりに空は晴れたのに気持ちは何ひとつ変わらず
さびしい気持ちはさびしいまま
悲しい気持ちは悲しいだけで
当然といえば当然だね
明日も同じあんばいか

僕の明日はきっと本物じゃない
僕の行くべき未来はあの日知らないあいだに見失ったから
たとえ今日が雨でもなんてことはないね
もう悲しみにも慣れっこになったから
少しくらいのことでは焦りもしません

どこぞやの誰かさんが置き忘れた電車のイスの横に立てかけられた比較的新しい傘のように孤独なのになぜかそれが運命的なほどサマになってる
今ごろきっと持ち主はずぶ濡れで家にご帰宅
僕と似ている傘よ
駅員さんにちゃんと自分の住所言いな
まだ君はいいほうだよ
ご主人様のもとへ行けばちゃんと使ってもらえるから
孤独ではない
忘れられたから孤独になっただけ
僕もそんな日々をいつからかおくってきたのかな いつか孤独なさびしさにも気づかず笑えるようになったら悲しいだろうか?いやそうでもないだろうと言う僕がこわいけど
だとしたらいつかはそんな途中ではぐれた誰かに会えるかな
期待しないで待ってるよ
暗い電車のイスの横に立てかけられた傘のように
孤独でいることに対するさびしさを忘れぬように誰かに会ったときの喜びが薄れぬようにずっとずっと誰かに会えるまで孤独な自分をぬらしていよう
時には雨宿りもするけれど忘れないよ
君と会える日を
喜べる時を
僕は胸にイメージしながら閉じた傘みたいに痩せこけたからだで無理しないようにそれなりに生きてみる

さびしいよ
聞かれればきっと
本音を言ってしまう
聞かれないだけで
本音は悲しいのさ
孤独が悲しくないわけないじゃないか

傘もわかるさ
そのわびしさ、むなしさを。

2009/06/30

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