詩人:花 | [投票][編集] |
目の前にうすく霧がかかっている
オブラートに包んだ言葉たちは
最後まで届かない
儚く消え入りそうな灯に
両手をかざして
「お願い 誰も 邪魔をしないで。この灯を消そうとしないで」
価値観が違うなんて言わないで
違う場所で生まれたの
違う時間を過ごしてきたの
違う人たちと出会い 違う思いを抱き
違う喜びをかみ締め 違う涙を流してきたの
同じであるはずがなく
同じであるわけがない
私たちの出会いは
神様の悪戯だったのか
神様の導きだったのか
事実に後悔と感謝が入り混じり
時々とても苦しくなる
他人をこんなに疑ったのも初めてで
他人をこんなに信じたいと思ったのも初めてで
目に映った光景に
耳に聴こえるその言葉に
一喜一憂しては涙を流した
近くにいれば傷つき
放してみても楽にはならない
必要としているのに
必要とされているのに
見えているのか見えていないのか
強くなろうとすればするほど
ぬかるんだ地面が
飲み込もうと
口をあけて待っている
私の自信を根こそぎ飲み込もうと待っている
静かに好きになりたい
静かに好きになってほしい
強く愛していきたい
強く愛して欲しい
見返りと言われてもかまわない