詩人:アル | [投票][編集] |
「お母さんが
今日は
がんばってくれた」
電話の向こうの声は
スキップするように
弾んでいた。
はしゃいでいられる様な
楽観できる状況では
なかったはずなのに
あの時のきみは
確かに幸せそうだった。
「これから
お母さんとふたりで
焼き肉食べに行くんだ」
「そっか、いいな
オレも行きたいよ」
「来れんなら来てみろよ」
きみがスゴんだ。
きみがいなくなった後
1週間くらい経って
携帯にかかってきた
ナンバー表示を見て
鳥肌が立った。
電話の声を聞いて
更に心臓を
鷲掴みにされた様に
気が動転した。
一瞬
きみだと思った。
電話なんて
できるはずないのに。
電話の声は
きみのお母さんだった。
自分でも
可笑しなくらい
涙が溢れて
止まらなかった。
あの時のきみは
確かに幸せそうだった。