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[155137] 涙を笑うな
詩人:どるとる [投票][編集]


今日もどこかで顔も名前も知らない誰かが心の中で泣いている
きっとひとり泣いている

国籍も歩んできた人生模様も何もかもが違う人たちが
それぞれの悩み抱え
それぞれの今を背負い
その誰もが悲しみの圧力に押しつぶされてる

そのどれもが何ひとつくだらないということはない
全ての涙に意味があり
全ての涙に理由がある
だから誰も笑えないんだ
同情することやともに泣くことはできても
その人が抱える迷いや悩みや悲しみを
歩んできた道を何も知らずに笑うことは
愚かなことだから
同情することさえもしかしたらおこがましいことなのかもしれないんだ
だから僕は何も言わないし何の感情も抱かない 自分のこと以外は

そして今日も涙は流れる
拾われたり そのままだったりする涙に救いがありますように
報われますように
そう願う僕の瞳には涙が光る

ほら、泣いてても
時間が無駄になるだけ
そんなつめたい言葉浴びせてくる世の中など 滅びてしまえ
本気で思うことがある

涙を笑うな 何も知らないくせして
平気で笑い飛ばす 人の波を かき分けて
やがて たどり着いた岬で 僕は何を見るのかな
小さなあかりが歩道を照らしている
後方にも前方にもただ暗く深い夜が広がってるだけ
もう 僕は夜の腹の中
そのうち 溶けてしまうのかな
なんて くだらないこと考えながら
自転車ころがす日々

隠されたドラマなんてない
ただ普通に悲しくて
ただ普通に嬉しくて
そんな毎日があるだけ
モザイクで隠された
心の中の葛藤や叫び
言葉にできぬ思いはらはらとこぼれるよ
今日もほらね

この夜には出口など存在しないから
ずっと 僕は朝日を浴びても 笑うことさえめずらしい
そんな未来を選んだ僕に非があるとするなら僕は何の罪?

ああなすすべもなく夢に素直に落ちてく
僕は 気づかぬ間に朝に行き着く

ただその繰り返しです。

2010/04/14

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