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[156230] 日なた
詩人:千波 一也 [投票][編集]


日なたで

ろうそくを点しましょう

大丈夫、

それは遠目には

よくわからないから

わかるのは

あなたの顔の

おおよその向きだけ、

でも

そんなわずかな情報さえあれば

ひとは静かに

ひとは安堵して

通過します



 日なたは

 そういうところです


 見えるようで

 見えないところです

 けれどそれでは

 不安になるので

 わかったふうな顔を

 みんなで

 並べるのです

 確かめ合うのです


 日なたは

 そういう広場です



日なたで

布団を敷きましょう

そうしてそこに

眠る準備をしましょう

多分、

道ゆくひとは

不思議がるでしょうけれど

だれも

何にも問わないで

各自が自由に

思考をします

ほんの少しの情報で

自分の顔を作るのです


晴れて

迷子にならないように

2010/05/20

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