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[16002] 名無しの晩
彼の名前も
輪郭も
覚えていないのに
忘れないのは
抱かれた晩のこと
名は無くとも
顔を忘れようとも
覚えてる‥
優しかった手と
肌の温もり
躰の線も
瞳の色も
忘れてしまった
胸の傷も
唇の熱も
冷めてしまった
彼の感触も
喋り方も
覚えていないのに
忘れないのは
抱かれた時のこと
あの美しい晩は
想い出達に
支えられて浮かぶ
夢の島か
蜃気楼の様だ‥
2004/08/13
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