詩人:あとりえ | [投票][編集] |
海の向こうの街の
あるギャルソンは
少年の頃から
煙草吸いながら
カットが必要な
くしゃくしゃの前髪で
生意気な表情
隠して
窓から裏通路へひょいと身軽出ては
軽くは心開かない
いいことなんか
まるでない
朽ちた灯台で寝て
月灯ただ眺め過ごしたり
或る月夜
ゆっくりと時の丘へ向かい
歩いた
その時にはポケットには
わずかなコインしかなく
明ければ
春の丘で ただ広がるような
街を海 水平線
眺めながら
大きく息を吸い込んだ
そして丘を降り
見つけに探しに行く旅へ
いつしか
彼はギャルソンとなる
カフェ庭に水をやり
テーブルクロスを変え
椅子を調え
その湯気のなか
ギャルソンは或る旅を続け