ホーム > 詩人の部屋 > 過去ログ > No.163000-163999 > No.163003「僕の暮らし」

過去ログ  〜 過去ログ No.163003 の表示 〜


[163003] 僕の暮らし
詩人:どるとる [投票][編集]


疲れ果てた帰り道は
ため息さえも生暖かく なぜかコートの襟を立てたまま
ぼんやりと眺めてる
窓の外の景色

流れ去るように
変わり映えしない景色はただ僕の瞳に
電車内の景色とだぶって映る暗闇だけ

僕の顔がとても情けなくて それでもどこかしらでずっと愛しくて

改札を抜け出た時
僕は雨の洗礼をうけて ずぶ濡れ 濡れ鼠

熱い雨に打たれて
寒い 街の中で
人通りの多い表通りから離れたら
一変 人っ子ひとりいない 寂れた道の先で待つ僕の家

重いドアを開けて
ただいまと言っても
誰も返事もしないさ
だって、僕は僕はねさみしいひとり暮らし

もう慣れたけど
慣れたからといって
いつもさみしくないわけじゃないし本音いえばさみしくないわけがないんだ

ああ 泣きたいから
泣くよ
お外では若いおじさんは
愛想ばかり浮かべて
思うように笑ったり泣いたりできないから家に帰ったときやっと素直に泣けるんだ 感情吐き出せるんだ

そんな僕の暮らしは
つづいていく

だれにともなくつぶやいた愚痴とも皮肉とも卑屈ともとれない言葉

ひとりごとがまるで
星のように この部屋に奇妙な輝きを与えてる

さみしいひとり暮らしにはそれくらいしか救いはないのさ
それくらいしか救いはないのさ

現実を見なよ
大概そんな具合さ

暮らしは性懲りもなくつづく
甲斐性のない僕をいやいや乗せたまま

回り続ける地球の片隅で 小さな願いをたくす夜は
きっと眠れないんだろう

だけれどだけれど
何はどうあれ
僕の暮らしは
つづいていく
ひとごとみたく
つづいていく

地獄の三丁目までも
天竺よりも
ラピュタよりも
ずっとずっと
彼方まで。

2010/12/12

前頁] [投票する] [次頁

- 詩人の部屋 -