詩人:ℒisa | [投票][編集] |
喉に何か詰まった様な空気の中でボヤーと
彼がガードレールを飛び越えて行くのを見ていた
ふわふわと光の中に浮いていて最高にHighだったけど心底真っ暗だった
当日流行りだしたエクステを腰まで伸ばして得意げに着飾った
モテる事とヤラれる事の違いもろくに解らない様なガキだった
じいさんの背中に爪を立てて喘いだのは叫びか悲鳴か
その報酬はくだらないものだったけど15、16のガキには他に知恵も無かった
家に帰らなくても叱ってくれる人ならもう居ない
素肌にワンピースとコートだけ引っ掛けて誰も居ないサンシャイン通りをフラフラ歩いた
煙草だけヤケに美味くてね
ネカフェなんてあの頃はまだ無くて
終電もなくて帰るあてもなくてただ歩いた
訳も解らずなんだか悲しくて
鳴らない携帯が余計に孤独を煽るような気がして公衆トイレの便器の中に投げ捨てた
そう、あのよるのこと
あれからずっとからっぽだったのかもしれない
便器の中、投げ捨てた携帯
誰かが鳴らしてくれてただろうか