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[171127] 愛の位
詩人:千波 一也 [投票][編集]


くもらぬ声で

ささやく物語が、愛


結末は

かなしくても

信じるしかなかった

瞬きの間が、愛


傷んだものは

そのままにしておくことが、愛

差しのべる手も、愛


叫ぼうとして

踏みとどまった後悔が、愛


伝わらなくて

にぎりしめた川風が、愛


星の名を

おぼえようとする瞳が、愛

星を見ていない

その目も、




雨上がりの虹を架けるものが、愛

消し去るものも、愛




 一から獣へ

 獣から策へ


 策から縁へ

 縁から万へ




指おり

数えることの

よろこびが、



数えたところで

無に帰る水面も、愛


ひとの光の

やわらかさが、愛

目をつむりたくなる

まぶしさも、愛


引き継がれてゆく

お荷物が、愛


失うことの

おそろしさが、愛


涙の奥の

なみおとが、愛

それを

描いたり

描ききれなかったりする

指さきも、愛


いつの日にか

が、愛


いつのまにか

も、






2011/09/17

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