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[176132] 暗闇と無音の中で
詩人:どるとる [投票][編集]


あなたは目を閉じても大事なものが見えるかい?
あなたは耳をふさいでも大事なことが聞こえるかい?

目にも 耳にも頼らずに生きたことがあるかい?
大事なことは目も耳もつかわなくてもきっとわかるはずなんだよ だってそれはいつも笑っちゃうくらいに当たり前なことなんだから

暗闇と無音の中でも見えるものはあるよ
聴こえる音があるよ
例えば誰かの産声や
例えば誰かの温もり
暗闇と無音の中にも
生まれるものがある
感じることがあるよ
例えばあなたの笑顔
胸にしまわれた記憶

目を閉じても耳をふさいでも
忘れない 忘れられない
悲しいこと うれしいこと いろんなことがこの胸の中にはある

人の心を見つめるためにはいくら目を凝らしてもわからない
人の本心を探り当てるにはいくら耳をすましてもわからない

本当に見つめなきゃいけない景色や場面
本当に聞き取らなくちゃいけない音や声
それはまぶたの裏に
それは心の奥にあるものなんだ

もう一度目を閉じてみてごらん
もう一度耳をふさいでみてごらん

あなたはさっきよりも人の心が わかるようになっているはず

暗闇の中や無音の世界でも 人の悲しみや痛みや苦しみに 敏感になってるはず

そして今日も感じてる
暗闇と無音の中で
あなたの心の奥で渦を巻く不安や焦り
そしてあたたかな優しさ

ほらね、あなたはもう言葉などなくても
手触りだけで なんとなくわかるだろう

心のまぶた ゆっくりひらいて 訪れた夜明けに 僕は笑うよ。

2012/05/07

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